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昆 ある一定規模の農業経営者だけでなく、農協にこそ先物は必要ですよ。
小林 ええ、その通りですね。
農協は政策提言できる
組織でなし
昆 先物を駄目って言う農協の本音としては、農家が賢くなっては困るというんでしょうね。米のマーケットは農協が管理できると本音では思っていないかもしれないけれど、それでも管理するという全中や全農の意志を貫徹するために言わざるを得なかったんでしょう。全中や全農は農政について色々と提言しますけど、地域の農協のお立場としてどう感じていますか。
小林 もはや農政に対して提言できる組織ではなくなってきたと思います。彼らに提言を求めても、新しい世界がまるで見えてこない。農協は設立当初とはその性質が変わってしまった。当初は農家所得を安定させる意味合いが強かったのが、今では農協の経営を守るための組織になっている。もはや専業農家が農協を頼りにしていない、そういう状況があからさまにあるわけで。その中で政策提言といっても、誰のために唱えているのか首をかしげてしまう。やはり兼業農家や中山間地域のためですよね。農協は手数料収入で成り立っているので、それを維持するための提言になっているように思います。
昆 農協は准組合員が主体ですからね。
小林 農協は専業農家にメリットを出せていない。おまけに手数料収入も少なくなっている。それで財務基盤を維持するために合併するという悪循環に陥っています。
加工用米の生産加速
昆 ところで組合長は米をどのぐらい生産しているんですか。
小林 面積でいえば18haです。
昆 農協に出しているんですか?
小林 いえ。これ言うとみんなびっくりするんですが、実は大潟村農協にはコメの販売事業がない。昭和42年に第一次入植者の営農が始まり、農協は遅れること昭和45年に設立された。それまでにカントリーエレベーター公社ができ、食管法のもとで政府米の流通を担っていくことになったんです。ゆくゆくは大潟村農協が公社を買い取るはずだったんですが、ご存じのように減反や闇米を巡って村が割れた。その間に公社の利用者が独自に増資をしたので、農協は取得できなくなったんですね。ただ怪我の功名じゃないですが、米の販売を自らやる人がたくさん出てきたことで、結果的に力強い農業経営体ができあがっていった。米を販売する、代金を回収する、販売戦略を組むということからの営農。それを長年実践してきたのが大潟村だったので。最終的にはお金の流れが農協に回ってきて、農協で資材を販売してという好循環になっているんだと思います。
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小林肇 コバヤシハジメ
大潟村農業協同組合
代表理事組合長
1967年6月、新潟県新発田市生まれ。同年11月、第一次入植者となった家族とともに大潟村に転居。秋田県立農業短期大学(現:秋田県立大学)卒業後、農業研修のため米国へ。帰国後、大潟村農業委員。2001年にJA大潟村非常勤理事、04年に同専務、10年から現職。
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