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【小川幸夫の虫の世界から見る農業】
益虫の代表格、テントウムシ
- 小川幸夫
- 第3回 2014年02月20日
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地域によって異なるが、筆者の畑でアブラムシを食べるテントウムシといえば、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ダンダラテントウ、ヒメカメノコテントウの4種類をよく見かける。前述のとおり、多くの人がテントウムシとして知っているのはこのうちのナナホシテントウとナミテントウである。ナミテントウは模様や色が数十種類に及ぶため、最初の段階でテントウムシの種類を見分けるのは困難だが、他の種類は大きさや模様から比較的簡単に判別がつく。
テントウムシは単にアブラムシを食べる種類だけではない。アブラムシに加え、コナジラミなど小さな害虫を食べてくれるものもいる。筆者の畑には梅の木のカイガラムシを食べるアカボシテントウやカビを食べるキイロテントウのほか、野菜自体を食べてしまう害虫のニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)が生息している。そんなテントウムシは次の3種類に分けられる。
(1)肉食性テントウムシ(ナナホシ、ナミ、ダンダラ、ヒメカメノコ、アカボシなど)
(2)草食性テントウムシ(ニジュウヤホシ、オオニジュウヤホシなど)
(3)菌食性テントウムシ(キイロなど)
見分ける基準としてはまず、足の速さがある。動かないカイガラムシを食べるアカボシテントウは除くとして、アブラムシなどを食べる肉食性のテントウムシは足が速い。その点、草食性のニジュウヤホシテントウはナス科作物のナスやジャガイモ、ホオズキの葉を好み、食べる対象が動かないため、足が速い必要がなく、とても遅い。また、草食性のテントウムシは光沢が少なく、くすんでいるのが特徴である。
菌食性のテントウムシはたいへん興味深い。よく見られるキイロテントウは、なんと野菜の病気であるうどんこ病を食べてくれるありがたく、そしてかわいらしいテントウムシである。当初は筆者もこのキイロテントウが野菜の上で何をしているのかわからなかった。何せ野菜の上にはアブラムシなどの害虫が見当たらなかったのだ。しかしある年、うどんこ病にかかったキュウリの葉の上で大量のキイロテントウの幼虫が口をモゴモゴさせて何かを食べていた。それがうどんこ病だったのである。こんなテントウムシもいるんだと笑ってしまった。ただ、うどんこ病の表面は食べられても根まではかじれない。食い尽くすまでには至らず、被害の拡大を抑える程度しか期待できないのは惜しい。
普通、テントウムシの群れがいれば、害虫はそこにおり、病気も発生している。だが、そうとも限らないときがある。アブラムシを食べるような肉食性のテントウムシの幼虫は、アブラムシを食べ尽くすと共食いを始める。成虫は羽を広げて新たな場所に飛んでいけるが、幼虫はそうもいかない。飢餓状態になると、他の幼虫がさなぎになる準備で動かなくなる瞬間を狙って共食いを始めるのだ。見方を変えれば、テントウムシの共食いがあるということは害虫が一掃された状態だといえる。そういったなかではもはやアブラムシへの薬剤散布の必要性はまったくない。
在来のテントウムシを
テントウムシの幼虫と成虫の捕獲は非常に簡単で、空のペットボトルの口をテントウムシに向けるだけでポロっと落ちてくれる。春先に梅の木などの繁殖している場所でナミテントウを捕まえようとすると、ものの10分で数百匹は集められる。こうしておけば、害虫の発生状況に応じてテントウムシをうまく利用できる。
テントウムシは単にアブラムシを食べる種類だけではない。アブラムシに加え、コナジラミなど小さな害虫を食べてくれるものもいる。筆者の畑には梅の木のカイガラムシを食べるアカボシテントウやカビを食べるキイロテントウのほか、野菜自体を食べてしまう害虫のニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)が生息している。そんなテントウムシは次の3種類に分けられる。
(1)肉食性テントウムシ(ナナホシ、ナミ、ダンダラ、ヒメカメノコ、アカボシなど)
(2)草食性テントウムシ(ニジュウヤホシ、オオニジュウヤホシなど)
(3)菌食性テントウムシ(キイロなど)
見分ける基準としてはまず、足の速さがある。動かないカイガラムシを食べるアカボシテントウは除くとして、アブラムシなどを食べる肉食性のテントウムシは足が速い。その点、草食性のニジュウヤホシテントウはナス科作物のナスやジャガイモ、ホオズキの葉を好み、食べる対象が動かないため、足が速い必要がなく、とても遅い。また、草食性のテントウムシは光沢が少なく、くすんでいるのが特徴である。
菌食性のテントウムシはたいへん興味深い。よく見られるキイロテントウは、なんと野菜の病気であるうどんこ病を食べてくれるありがたく、そしてかわいらしいテントウムシである。当初は筆者もこのキイロテントウが野菜の上で何をしているのかわからなかった。何せ野菜の上にはアブラムシなどの害虫が見当たらなかったのだ。しかしある年、うどんこ病にかかったキュウリの葉の上で大量のキイロテントウの幼虫が口をモゴモゴさせて何かを食べていた。それがうどんこ病だったのである。こんなテントウムシもいるんだと笑ってしまった。ただ、うどんこ病の表面は食べられても根まではかじれない。食い尽くすまでには至らず、被害の拡大を抑える程度しか期待できないのは惜しい。
普通、テントウムシの群れがいれば、害虫はそこにおり、病気も発生している。だが、そうとも限らないときがある。アブラムシを食べるような肉食性のテントウムシの幼虫は、アブラムシを食べ尽くすと共食いを始める。成虫は羽を広げて新たな場所に飛んでいけるが、幼虫はそうもいかない。飢餓状態になると、他の幼虫がさなぎになる準備で動かなくなる瞬間を狙って共食いを始めるのだ。見方を変えれば、テントウムシの共食いがあるということは害虫が一掃された状態だといえる。そういったなかではもはやアブラムシへの薬剤散布の必要性はまったくない。
在来のテントウムシを
捕獲して利用する
テントウムシの幼虫と成虫の捕獲は非常に簡単で、空のペットボトルの口をテントウムシに向けるだけでポロっと落ちてくれる。春先に梅の木などの繁殖している場所でナミテントウを捕まえようとすると、ものの10分で数百匹は集められる。こうしておけば、害虫の発生状況に応じてテントウムシをうまく利用できる。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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