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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

約60年ぶりの復活が地域活性化に


振り返れば、13年3月6日に最初の申請交渉をして、翌4月30日に正式許可の電話が入り、5月2日には実際に免許証が届くという、麻栽培免許の超スピード取得が実現していた。地元の古老・移住者・町長の見事な連携プレーだった(写真1)。その後、上野さんの弟、淳哉さんが共感して同町に移住を決意し、5月の種まき段階から合流した。

60年ぶりに桶蒸法を復元

昔から西日本全域では麻茎を蒸して繊維をとるという麻蒸法(あさ むし ほう)が行なわれていた。細かく分けると石蒸法、桶蒸法、箱蒸法などの蒸し方がある。
8月のとある日、麻栽培復活を知った隣の集落の古老が「昔使っていた大きな桶がある。ぜひ使ってほしい」と上野さんを訪ねてきた。群馬県での栽培経験しかない上野さんは最初、桶の利用法がわからなかった。調べてみると現在は誰もやっていない桶蒸法(おけ むし ほう)と呼ばれる幻の方法で使う道具だった。そこで、地元の方々や町役場の協力を得て9月28日に「桶蒸公開実験」としてやってみることにした。
正式にはコシキと呼ばれる桶は、高さ2.5m、直径90cmほどある。平釜に入れた水を沸騰させて蒸気を発生させ、桶の中に敷き詰めた麻茎を3時間ほど蒸すことで、アラソ(荒苧)をとる(写真2)。
驚くべきことに、この公開実験のために全国各地から200名もの老若男女が限界集落に集まったのだ。桶を縄で引き上げるときに皆で「麻ひらき!」と掛け声をかける。世代を超えて会場の気持ちが一つになった瞬間である。約60年前の栽培事情を知る4名の古老たちから麻糸や麻布の現物を見せながらの麻についての語りは、多くの人に感動を与えた。同時に古老たちにも「若い人が麻に興味をもってくれてうれしい。寿命が5年伸びたよ」と。この感動体験は、複数のマスコミに大きく取り上げられ、町の広報誌の表紙も飾った。

地域活性化の目玉として

13年は譲渡された種子が少なかったため、まずは播種用の種子を増やすために23a全面に栽培した。もともと水田だったので、水はけが悪く、1年目の種子収量は通常の半分以下の約80kgだった。
麻の免許は毎年12月31日に更新が必要で、その度に県当局と交渉しなければならない。それも無事にクリアし、14年は作付面積を増やして68aになった。現時点で全国の麻の作付面積5・5haの12%を占める、中国・四国地域では唯一の麻畑である(表1)。10aを繊維収穫用に、残りの58aを種子用に利用する。種子畑事業(麻味噌、麻油、麻茎から花火原料用の麻炭の製造)、繊維畑事業(アラソ・コギソの製造、技術継承、オガラから麻炭製造)、交流事業(麻畑体験、年間・1日・半日の3コース制)、麻漫画『よのあさ』(写真3)や聞き書き集の出版、「森のようちえん」とのコラボ企画などの事業を展開していく予定だ。

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