ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

岡本信一の科学する農業

大規模化はするべきですか?


大規模化すると売上が飛躍的に向上することで満足してしまうことが多い。しかし、求めるべきは利潤であり、売上ではない。これはかつて製造業がたどった、売上至上主義から利益追求への道筋に近い。考えて見れば当たり前の話で、売上を向上させるために利益や利益率が大幅に減るような経営は避けるべきである。農業経営では栽培技術と経営の関係について言及されないがために、売上至上主義の大規模化や収量増大策ばかりに気を取られているのが現状なのである。

売上至上主義から
利益追求の道筋へ

この連載の中では歩留まりについて繰り返し述べてきたが、製造業では歩留まりを落としての生産拡大などあり得ない。農業分野では歩留まりという概念が存在しないために、軽視されてきたのだ。大規模化する場合の栽培技術というのは、単に機械を大型化するということではない。日本では諸外国に比べて圃場条件、地域条件、そして作物、品目、経営目標までが多様である。大きな機械を導入すれば効率が高くなり、高効率生産ができるというわけではないのだ。大型化に踏み出すためには、経営的な条件だけではなく、規模を拡大したとしても栽培の歩留まりを維持できるのかに関しても、目を配ることが重要になってくる。
大規模化は決して手を抜く栽培方法ではないし、大型機械による高効率栽培でもない。目指すのは高品質や高収量ではなく、品質や収量の安定で、栽培に対する取り組みもこれまでとは違う考え方が必要となる。目指すべき方向を考えないと売上は増えたが、利益は減少するというような本末転倒の結果に至る。
管理する圃場数が増えるにつれて把握することが難しくなるが、圃場の出荷歩留まりもこれまでより落としてはならない。圃場ごとの収量や品質、歩留まりというのは栽培だけではなく、経営にとっても最重要情報であるということがお分かりいただけると思う。大規模化する場合、面積が2倍になるから売上や利益が2倍になるというような単純な話ではない。売上はそこそこ上昇するが、利益についてはマネージメントを間違えればマイナスにもなる。規模に応じた経営管理が必要になるし、大面積になるほど他の要素も増えてくる。大規模化する場合には、これまでとは全く違う取り組みであることをまず理解し、さらに栽培と経営は一体で、どちらも疎かにはできない要素であるということを考えなければならない。

関連記事

powered by weblio