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今年の市場相場を読む

主要野菜品目における20年の変遷

20年前ごろは、バブルの終焉と長引く景気低迷の始まりというターニングポイントだった。以降、野菜に関する特徴といえば、国産の一本調子の面積・生産量減と、それに連動した輸入の拡大という現象である。だが、加工業務用の野菜類については、国産が減ったからといって使用量全体が落ち込んだわけではなく、不足分は輸入品で対応してきた。加工業務用需要の多くは、卸売市場の品ぞろえ機能を活用しているが、輸入が恒常化すると直接取引が増えて市場流通から見えにくくなる。ただし市場相場の推移は、マーケット全体を反映しているため、表面的な現象の背景を見ていくことが重要だ。

タマネギ
市場流通の割合が徐々に減少傾向、むきタマ需要増えて輸入が恒常化

【概況】
東京市場の入荷を1993年と13年で対比すると、入荷量全体では25%もの減少となっており、平均単価もやや高い。タマネギは、最も基幹的な食材として常に一定需要があることから、国産の豊凶で輸入が敏感に増減するといわれている。20年前には東京市場の入荷は1万8000t前後あったものの、現在では1万3000t前後で推移しているありさまだ。実際に93年の輸入は3万t程度、25年では30万tを超えている。

【背景】
93年に東京市場の輸入タマネギの割合はわずか1.5%。それが13年では約5%にまで拡大している。しかし、25年の輸入量は30万tを超えているにもかかわらず、東京市場には6600t程度しか入荷されていない。東京市場は一般に全国の約1割の入荷があるといわれているのだから、輸入タマネギなら3万tあってもいい。20年間でタマネギは、国産の3割近くが市場外に流れ出し、輸入物は今や2割しか市場流通していない。

【今後の対応】
近年の輸入増加傾向は、国産の豊凶にそのまま連動していない。タマネギ流通の特徴として、輸入が増えて恒常化し、市場外流通が増えていること。背景には、国産の作柄の不安定化という要因のほか、主に中国産で「むきタマネギ」の形で輸入の割合が増えているということだ。為替変動のために輸入原価は高くなっているが、むいた形での輸入はそのまま需要者に直納して使える利便性が支持されている。タマネギにおける国産の必然性は低い。

ネギ
中国産は加工業務用需要に特化へ、伸びが著しい夏秋産地が代替狙う

【概況】
東京市場のネギの入荷・販売動向は、93年と13年対比で、数量、単価ともほとんど変わらない。しかし大きく変わったのは、93年当時に中国産の入荷はほとんどなかったのが、13年では4%程度のシェアを占めるようになっていること。13年の全体の輸入量5万4000tのうち、東京市場には2400tが入荷した。これは栃木県からの入荷量に匹敵する。卸売単価に関しては中国産は国産の半値である。

【背景】
輸入ネギは、10年前まで小売商材でもあったが、ギョーザ事件後からはほとんど加工業務用に特化してしまった。そのため、卸売市場でも中国産は、中小業務用需要者向け食材の品ぞろえ用で、ほぼ需要者が固定している。輸入品の5割近くが市場流通し、しかも毎月ほとんど同量が入荷しているという実態がそれを裏づける。注文があらかじめ予約されているのである。市場外流通する輸入品も、中心はカット業者が刻みネギ加工用で使っている。

【今後の対応】
ネギは、千葉、埼玉、茨城などの関東産の入荷が減っているのに対して、青森、秋田、北海道などの夏秋産地の伸びが著しく、全体として生産意欲は高いものがある。その要因は輸入が5万t以上もあることで、国産での代替を目指す動きが活発化しているのだ。しかし重要なことは、中国産が加工業務用に特化している現状をまず認識することだろう。単価の安い加工業務用仕向けの生産が、安定的に継続できる産地リレー化が課題である。

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