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「農業って感謝する気持ちを最も抱きやすい職業やと思います。栽培というけれど、人の労働はたいしたことはない。むしろ、自然の力があるからこそ農作物はできる。動植物の犠牲があるから、我々は食べていける。だから、僕は社員に言うんですわ、車にも感謝だと。配達して無事に事故なく帰れたら、それもありがたいこと。車を造るまでにいろんな人のご苦労があるでしょ。そういった一切に感謝せなあかんよって」
岩見はとにかく人材教育に熱心である。毎日の朝礼では社訓を唱和する。また、社員は社命で経営セミナーに加えて道徳教育の研修会にも頻繁に通っている。道理で取材で訪れたとき、従業員一人ひとりが挨拶をしてくれたわけだ。
「社員には、道端で人に会ったら、見知らぬ人であっても元気よく挨拶せいって言ってるんです。声をかけられた人は1日、気持ちいいまま過ごせるかもしれないじゃないですか。私は社風って大事だと思ってるんです。仕事で出入りしていたパナソニックでは、みんな同じ顔をしていると感じました。松下幸之助の教えが生きているんですね。うちもそれを目指したい。うちの会社の経営方針にこんなのがある。人や社会の見本となれ、と。そんな人材を育てていきたい」
水生植物を通して現代人に安らぎを提供する杜若園芸。昨年にその精神と経営を受け継ぐ人材として、長男はじめ優秀な人材が入ってきたところだ。100億円企業に向けた準備は着実に進めつつある。
(文中敬称略)
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岩見悦明 イワミエツアキ
(株)杜若園芸
代表取締役
1963年、京都府城陽市生まれ。龍谷大学経済学部を卒業後、奈良の南都銀行に入行。27歳で退社、花屋で半年間の研修を経て、家業の農家を継ぐ。95年、(株)杜若園芸を創業。1haで受け継いだ経営面積を5haまで広げる。家族は祖母、両親、妻、子ども3人。
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