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農場視察セミナー『農業経営者』編集長と訪ねる日本の農業現場

JAみっかびで農協の可能性を考える

静岡県浜松市のJAみっかびは、組合員の農産物販売高やJAの利用度が非常に高い。さらに主要事業の事業利益のバランスがとれており、決して信用・共済事業に依存していないことに特徴がある。こうしたJA経営ができる秘密はどこにあるのか。(株)農業技術通信社は2月12日に第5回農場視察セミナーを開き、参加者13人とともに同JA管内を訪ねた。 (取材・まとめ/窪田新之助)

スリムな経営

愛知県に接する浜松市は、ヤマハや河合楽器製作所、スズキなど日本を代表する製造業者が本社を置く一大工業地帯である。一行を乗せてJR浜松駅を出発したバスもそうしたメーカーの工場を通りながら北西へ進んだ。ただ20分もしないうちに光景は移り変わり、青空の下、午後のまぶしい日差しに映える自然が広がってくる。やがてところどころに「鰻」の看板が目に入るようになると、すぐに浜名湖が見えてきた。カキやアサリの養殖が盛んで、単位面積当たりの漁獲量が全国の湖でもトップクラスを誇る。
この土地の豊かさを象徴するもう一つがカンキツ類である。耕地面積1977haのうちカンキツ園は1673haと大部分を占める。その生産者でつくる三ヶ日町柑橘出荷組合の年間販売数量は3万8260t。品種の内訳では「青島」2万4450tと「早生青島」1万61tなどとなっている。カンキツ類だけで年間販売額は87億円(2012年実績)にのぼる。
国内トップクラスのカンキツ産地という事実とは裏腹に、JAの本店は想像していたよりも小さかった。また道すがら見かけた支所はそれ1カ所だけだという。とにかくスリムな経営である。表1を見て頂きたい。JAみっかびの組合員数は2771人。これは県内17JAの平均1万7682人と比べて7分の1程度。同様に職員数は201人と、これまた県平均503人の4割に満たない。准組合員や信用・共済事業の増大で事業規模が膨れ上がるJAグループにあって、本来的な農協経営の道を歩む数少ない単位JAである。
後藤専務が「小金持ちが多い」というように、組合員1人当たりの貯金高は2172万円と県平均1126万円の倍。長期共済保有高は1億471万円と、これは県平均3972万円の3倍。JA自体の経営も良好である。自己資本比率は31・95%と県内平均19・45%をはるかに上回っているのだ。

東洋一の選果場

そうした産地の豊かさを象徴するのが「東洋一」という規模の選果場だ。床面積1万5000平方mという一品目の選果場として国内では目にすることのない巨大さである。処理能力は1時間当たり70t、1日当たり450tである。

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