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農場視察セミナー『農業経営者』編集長と訪ねる日本の農業現場

JAみっかびで農協の可能性を考える


こうした観点からJAみっかびとして手掛けた事業の一つに、サントリー酒類とのコラボレーションによる「三ヶ日みかんハイボール」がある。この日、視察ツアーの参加者にはその実物「サントリートリスハイボール 三ヶ日みかん缶」を配った。ハイボールブームをつくってきたサントリーが昨年11月5日から東海北陸エリア7県で数量限定にして販売したもの。缶のデザインには世界遺産となった富士山に加え、「JAみっかび」のマークも入れている。後藤専務によると、サントリー社はこれまで沖縄特産のシークワーサーでハイボール缶を販売したことはあるが、農業産地の業者や団体とコラボするのは初めてのこと。静岡県内の飲食店でもこのハイボールが飲める。サントリー社のホームページには、370軒の店名とその店舗情報が閲覧できる。
「六次産業化は互いにウィンウィンでないと成功しない。それぞれの強みがあってそれでつながらないと。サントリーはおしゃれ、JAマークは安心というイメージがある。そこで今回は協調することができた」
企業とのコラボでもう一つ仕掛けているのがキャンペーン「オフィスde三ヶ日みかん」。「オフィスみかん」というのは「職場で小腹が空いたときやリフレッシュタイムには、お菓子の代わりにみかん(果物)を食べよう」という趣旨の運動。ミカンを食べるシーンを増やすため、シニア野菜ソムリエの武田由紀氏が提唱したものだ。2月24、25日にはヤマハで三ヶ日ミカンの詰め放題や生搾り体験、青島ジュースの試飲などのイベントを開催する予定であるという。販売戦略の強化とブランドの創造に向けて、マーケッティング室を設置する予定である。
1993年、JAみっかびは周辺との合併をしない決断をした。当時の組合長は後藤専務の父。合併しなかったのは「三ヶ日というブランドがなくなってしまう」のを恐れたからだ。ただ、そのためにJAグル―プからは「随分といじめられた」という。それにめげることなく、国内有数のカンキツ地帯を築き上げた。
表1が示すように、組合員のJA利用度は高い。それだけJAが信頼されているということだろう。組合員はカンキツで儲けた金でJAの事業をよく利用してくれるから、剰余金も生まれて組合員に配当もできる。2012年は合計6400万円の実績がある。組合員に利用してもらって利益を還元するのは農協本来の姿である。概して合併を選択しなかった単位JAはグループ内から「未合併農協」というレッテルを張られるが、それは全国連や県連の勝手な都合である。見直すべき姿が未合併のJAみっかびにはあった。

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