ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

小さな顧客と価値を共有する経営者たち


荻野製茶の経営を支えている大きな要素は、個人顧客への販売である。
荻野製茶の個人顧客は全国にもいるが、そのほとんどは代々付き合いのある地元、富士市内の顧客だという。また、新規顧客は、既存顧客からのクチコミによるところが多いという。
荻野製茶は、大渕地区の山間部のお茶農家の中でも山の上の方に位置している。荻野製茶のお茶を買うには、宅配を頼むか、車で買いに行く必要がある。県内の顧客には可能な範囲で荻野氏自ら宅配のサービスをしているのだが、宅配を頼む顧客は少なく、ほとんどが車で買いに来るという。その際に、まとめ買いをする人が多いので客単価は高い。
荻野氏は、お茶の時期にはそうやって荻野製茶に人が集まってくれるようになればと語る。なぜなら、荻野製茶がお茶を栽培して製茶し、販売している場所が風土を感じられるブランドの価値の一つでもあるからだ。
荻野製茶にわざわざ足を運ぶ価値があると思ってもらうため、荻野氏が取り組んでいるブランド作りの手法とプロモーションを以下に紹介する。

【流行の「色」にとらわれず味と香りにこだわる】

静岡茶の主な品種はやぶきたで、深蒸しが主流である
「昔は、お茶は香りが良いものが飲まれていたのですが、今は、色が濃いほうが好まれます。お茶に対する考え方が変わってきたんですね。浅く蒸すと、『このお茶色がないね』と言われることもあります」
荻野製茶の二つのブランド、「龍神茶健」と「姫の里」も品種はやぶきたであるが、製茶の方法を変えている。荻野氏は、お茶は標高によって味が異なるので、それぞれの標高に合った製茶をすることが大切だという。
後者の標高が低いところにある茶畑のお茶ブランド「姫の里」は、葉に厚みがあるため、主流の深蒸しにしている。一方、前者の標高の高いところにある茶畑のお茶ブランド「龍神茶健」は、香り高いお茶にするため、浅く蒸しているという。
色がないと言われても、主力ブランドの「龍神健茶」を浅く蒸すことにこだわる理由を荻野氏は次のように説明する。
「この辺のように標高の高い茶畑のお茶は、葉が薄いから深く蒸すと味がぼやけます。浅く蒸したほうが香りが良いのです。静岡の問屋も特徴のあるお茶を欲しがります。標高が高く気温が低いという、ここの風土ならではの特徴が出せます」
「龍神茶健」は、「ふじのくに山のお茶100選」に入賞したお茶ブランドの一つでもある。
製茶工場の工程について、先代ともめることもあったというが、結果、自分が自信を持って売れるものを作ることにこだわった。

関連記事

powered by weblio