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【吉村明のみつひかり栽培日誌】
「みつひかり物語」(3)
- 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
- 第3回 2014年03月19日
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現在、平成26年産「みつひかり種子」のご注文を受け付けています。既存の生産者様からのご注文を集約中で、作付面積拡大に伴い、「みつひかり」の栽培を増やしている方が多いようです。また、新しい取り組みも増えてきており、徐々に広がりをみせています。ご用意している種子に限りがありますが、まだ大丈夫です。栽培を迷っていらっしゃる農業経営者の皆様、是非、「みつひかり栽培」に挑戦してください。
「みつひかり物語」(3)
【開発の経緯(2) ~ぶつかった壁~】
「食味・品質に優れたハイブリッドライスの開発」は学術的には画期的な出来事でしたが、事業となると簡単ではありませんでした。ハイブリッドライスの特性から種子生産が大変難しいなか、委託農家の協力により大量生産体制を整え、2000年の種苗登録を機に、既に400haを超えていた栽培面積を一気に拡大する計画を立てました。
ところが、面積が増えるにつれ、「コメが売れない」「安く買い叩かれる」などの声が聞こえるようになりました。知名度アップのため、新聞・業界紙の取材にも積極的に応じました。さらに資材販売店による積極的な販売活動を行ないましたが種子販売量は横這い、種子が売れ残り、処分するということもありました。大きな原因は2つあり、(1)日本に根付いた米流通の仕組みに民間品種が入り込めなかったこと、(2)生産場面にだけ目が行き消費場面を考えていなかったこと、だと考えています。
そこで、事業が大きな壁にぶつかった02年より、「みつひかり」を消費していただく実需者探しを開始しました。農水省主催の「米の試食会」やさまざまな展示会に積極的に参加しました。興味は引くのですが、実需者側は「ロットが集まらなければ話にならない」、生産者側は「販売先が確保できなければ栽培する意味がない」と話はまとまりませんでした。また、栽培体系が未確立で、倒伏・低収・米安などの「五重苦」を味わった農家の「みつひかり離れ」が進み、事業は行き詰まってきました。そんななか、03年の冷害が「みつひかり」にとっての大きなターニングポイントとなるのです。
栽培のポイント(3)
前回、稲の収量構成要素のお話をしました。表1は「一般品種=穂数型」と「みつひかり=穂重型」の収量構成要素の比較です。「みつひかり」は穂数が一般品種の3分の2、一穂粒数が約2倍。こうした基本特性をもとにして栽培体系が決まってきます。取りづらい穂数をいかに確保するかが収量アップのポイントです。
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吉村明 ヨシムラアキラ
三井化学アグロ(株)
営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー
1962年生まれ。1988年 北海道大学大学院農学研究科修了。同年 三井東圧化学(株)(現三井化学)入社、農業資材開発に従事(北海道工業所勤務)。1996年 本社異動後、ハイブリッドライス事業開発を担当になる。2000年に事業ごと三井東圧農薬⑭(現三井化学アグロ)に異動し、現在に至る。17年間「みつひかり」をライフワークに、全国を飛び回る。
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