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【吉村明のみつひかり栽培日誌】
「みつひかり物語」(3)
- 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
- 第3回 2014年03月19日
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「みつひかり」はどのような条件でも「1トン獲り」を狙えるわけではありません。環境条件が整い、リスクを承知で栽培していただける生産者でなければなりません。収量目標の考え方を表2に示しました。早植えできる地域で十分に登熟を待てる環境条件、台風による倒伏など怖くないというチャレンジャー農家だけが狙える大きな目標です。
昨今、夏場の高温の影響で「みつひかり」の栽培地域が北に広がってきました。はっきりとしたデータはまだ出てはいませんが、我々のこれまでの経験から、「みつひかり」の登熟には、最高気温15℃、日平均気温10℃が目安になります。これ以下になると品質の劣化はほとんどありませんが、登熟が進まなくなると考えています。その限界温度を図1に示しました。この時期までに登熟が完了するように栽培スケジュール・施肥体系を考えることが目標収量を得るためには大切です。
生産者インタビュー
「おいしいお米づくり」からの意識改革!
「『みつひかり』を栽培するようになって、稲作に対する意識が変わった。10年栽培してきたが、まだまだ満足していない。収量はまだまだ伸ばせる、と思っており、日々勉強です」
三重県K市で耕作面積25ha、作業受託延べ面積185haを切り盛りする森田俊紀さん。「みつひかり」との出会いは、父正明さん(写真右)が代表であった10年前に遡る。実需者からの要望で、みつひかりの契約栽培の話が舞い込み、果敢にチャレンジされた。当初はマニュアルが未整備で、一般品種と同じ網目で篩ったため、収量は8俵程度しかなかった。これでは栽培する意味がない、とやめていく農家が多かった。そんななか、「食味は二の次、とにかく量を取ってくれ」と、こだわりの「おいしいお米づくり」とは真逆のことを言われ、大きく意識が変わった、とのこと。「みつひかりに取り組んで良かった。作業受託が主で、委託された稲が最優先、自作の7~8割は刈り遅れのない『みつひかり』となり、とても作業が楽になった。つくったお米の消費先が見えるというのは安心できるし、評価を直接聞けるので励みにもなる。実需者との信頼関係が大事で、10年間取り組んできて本当に良かった、と思っている」(正明さん)。3年前より俊紀さんに経営を譲った。俊紀さんは若手の経営者として、全国に人脈を持ち、「みつひかり」を生産者に紹介して、普及にご協力いただいている。
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吉村明 ヨシムラアキラ
三井化学アグロ(株)
営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー
1962年生まれ。1988年 北海道大学大学院農学研究科修了。同年 三井東圧化学(株)(現三井化学)入社、農業資材開発に従事(北海道工業所勤務)。1996年 本社異動後、ハイブリッドライス事業開発を担当になる。2000年に事業ごと三井東圧農薬⑭(現三井化学アグロ)に異動し、現在に至る。17年間「みつひかり」をライフワークに、全国を飛び回る。
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