ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

シリーズ水田農業イノベーション

名取市の大規模水田での稲‐麦‐大豆2年3作の実証試験(前編)~仙台平野津波被災地域での大区画水田の造成~


図3はT農産での初めての播種作業で、研修会の様子である。5月末の出芽の時期にも研修会を行ない、土壌クラストへの対応や、その後の水管理、除草剤散布などについて、圃場巡回でアドバイスした。
11年3月11日に発生した東日本大震災はあまりにも大きな出来事であった。沿岸部に襲いかかった津波は壊滅的な被害をもたらし、石巻市の人的被害は群を抜いて多かった。水田も用排水施設が被害を受け、田植えが計画的に実施できないという事態に見舞われたが、乾田直播では用水が来る前に播種できることから、11年はむしろ前年よりも面積が拡大した。石巻管内の乾田直播は増え続け、13年には150haを越えた(図4)。
仙台平野では、稲‐大麦‐大豆の2年3作が定着している地域があり、桃生町でも同様の方法で水田の高度利用が図られている。その際、大豆跡の水稲の代かき移植栽培は、肥沃な土壌のため無肥料でも稲が倒伏することがあるので、大豆跡に乾田直播を導入するケースが増えている。無代かきの乾田直播は、代かきする体系に比べて土壌窒素の無機化が遅く、稲の稈長が短く抑えられ倒伏し難くなる効果があり、このことが乾田直播導入の動機にもなっている。

仙台平野の津波被災水田での
大区画水田の造成

東日本大震災(以降、震災)で津波浸水被害を受けた農地が復旧し、営農が再開されるようなると、特定の担い手が多くの面積の水田を耕作する必然性が生じる。その際、圃場区画や経営規模の拡大により、コスト競争力のある水田農業の発展が期待されている。農林水産省では、宮城県南部沿岸の被災地域を対象として、先端技術を導入し、高能率・安定多収を実現する低コスト大規模水田農業の実証研究を12年から展開しており、東北農業研究センターは中核研究機関として参画している。
対象の実証経営である宮城県名取市K法人は、09年現在の経営面積は64.9haで、稲‐大麦‐大豆の2年3作体系の水田高度利用をブロックローテーションで実施する経営体だった。機械装備は30a区画に合った50馬力級トラクターを中心とする中型機械化体系であるが、水稲の育苗箱の自動積重装置を導入するなど育苗の省力化を図り、苗販売も行なっている。
11年3月の震災では、K法人のほぼすべての農地が津波浸水被害を受けた。ガレキ除去とゴミ処理作業が行なわれた後、11月から翌年3月にかけて縦浸透方式の除塩作業が行なわれた。12年にはブロックローテンションにしたがって稲・麦・大豆の作付けが再開し、近隣の農家から大豆作付けが殺到し、13年の経営面積は既に115haに拡大している。

関連記事

powered by weblio