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実践講座:したたかな農業を目指す経営管理 入るを計り出を制す!

投資其ノ三 新規作物の導入を考えるときの脳トレ法


実際にトマト栽培の見積書を作成してみよう。表1は作業名と作業時期、使用資材、資材単価、労働力、機械など、作付けしたときに必要となる情報を整理した生産技術体系である。北海道の標準的な夏秋どりのトマト栽培では約15の作業から技術が成り立っており、栽培期間は4月~10月、10a(300坪)当たり約1200時間の労働が必要である。肥料や農薬を含む資材費などは96万円/10aかかることがわかる。
次に表2の収支試算表では、表1の経営費、目標の生産量、販売単価、粗収入から償却前所得を整理した。規格内外を含む収量は9000kg/10aで、単価を289円/kgとすると、260万円の粗収益を見込むことができる。ハウスや機械などの減価償却費を除く、償却前所得は約160万円で、労働時間から算出したこの段階での時給は約1400円。
最後に旬別に1年の労働時間を10a当たりで計算してみることで、労働力がおおよそどれほど必要かを推測できる(表3)。この値から、基幹の労働力が2名の場合、臨時雇用を加えれば600~900坪は作付けできそうだという見通しが立つ。
この見積書があれば、減収や想定外の使用資材の増加、労働不足のときにすばやく軌道修正につなげられる。新規作物の導入を考えた時点で、技術的な視察や指導を受けることばかりに気を取られていると、採算度外視の作付けに向かいかねない。特に施設園芸は人力の作業が大きく、赤字で徒労に終わったときの悔しさとショックは計り知れない。どんな助けを借りてでも、生産技術体系は怠りなきよう作成することである。

桃栗三年、新規は七年

導入7年目の我が家の肉牛繁殖部門は、導入前には経営試算ソフトで10カ年計画を立ててあったが、収支計画と実績を単年度ごとに見比べてもあまり一致していない。ただ、6年間の実績平均値と10カ年計画の平均値はほぼ近づいてきており、経営指標の数値に達するまであと一息である。導入11年目のハウス立茎アスパラガスは、導入から2~3年は収量が少なかったが、7年目には経営の稼ぎ頭となっていた。相場の変動、予定外の出費は品目によって異なるが、新規導入が実を結び軌道に乗るまでは7年を目安としよう。
一所懸命働いたにもかかわらず、目論みどおりの儲けは1~2年で出なくて当たり前である。くよくよしたり、愚痴をこぼしても、家族や労働者の士気も高まらない。「桃栗三年、新規は七年」、これを心構えに加え、投資の話題の最後とする。

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