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オピニオン

山梨を襲った「想定外」の大雪

2月8日、14日の大雪により関東・甲信・南東北地域で、ハウスや倉庫、作物などに甚大な被害が発生しました。被害に合われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 なかでも観測史上最高の114cmを超える積雪を記録したのは山梨県でした。ハウスが倒壊する被害に合われた同県中央市の田中進氏((株)サラダボウル代表取締役)が力強いコメントをFacebookに掲載されました。ご本人の承諾を得て原文のまま転載いたします。各地の一日も早い復興をお祈りします。 (編集部)
みなさま、この度は本当にありがとうございました。お陰様で色々な問題も解決のめどが立ち、ひと段落つきました。刻々と深刻さを増していきましたが、何とか乗り切れそうです。様々なご支援や励ましに心より感謝申し上げます。
数日前まで、「自然の前では無力だなぁ」「農業はやっぱり自然リスクと隣り合わせだなぁ」なんて考えていました。しかし、時間が経ち、落ち着いて振り返ることができる今、今回のサラダボウルのハウスの倒壊は決して自然災害などではなく、未熟な経営者が招いた人災だったという結論に至っています。(あくまでサラダボウルのことであり、決して他の農家のことを含めている訳ではありませんので……)
確かに地域のハウスは半分以上が倒壊しました。果樹産地では80%以上倒壊しました。山梨県全域で174ha以上のハウスが倒壊したとも言われており、今後もその数は増えていくでしょう。信じられないほどの数字です。
そのような状況の中、「今回の雪では仕方ないよね」「みんなダメだったんだから避けようがなかったんだよ」という周囲の認識に私自身も同調していました。
しかし、同じスペックのハウスを倒壊させずに守り抜いた生産者がいました。私たちよりも、はるかにスペックの劣る弱いハウスを守り抜いた篤農家がいました。周りのほぼすべてのハウスが倒壊する中、ただ一社だけハウスを守り抜いた果樹生産法人がありました。その事実を前に、経営者としての未熟さに気づかされたのです。
一番目の生産者は、私の兄です。一晩中、家に帰ることなく懸命に対策を講じ、誰もやらない様なでき得るすべての手段をやり切り、ひとりでハウスを守り抜き、家族を守りました。
二番目は隣の70歳近い篤農家です。真っ先に潰れてしまうような弱いパイプハウスを見事に守り抜きました。氏いわく、「みんな、この雪じゃあどうにもならんちゅうけんど、これを見てみろし。ちゃんと建ってるらに。俺りゃぁ、一睡もしちゃあいんよ。夜中じゅう、何回も何回も雪をかいてまわったぞ。ほうすりゃぁ、ハウスなんか簡単につぶれんだぞぉ」と。

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