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岡本信一の科学する農業

丁寧な作業の積み重ね以外に、近道はない


ざっと、バラツキを起こす要因を挙げてみよう。緑肥のすき込み、堆肥、肥料等の散布、耕起、整地、播種準備(種子、苗の準備)播種(移植)、発芽、温度・水・栽培管理などがある。見ていただくと分かるとおり、露地栽培ではほぼ発芽するまでの工程の問題である。要するに発芽が揃うかどうかまででだいたい決まってくると考えて良い。その理由は、降雨条件も日照条件もほとんど同じで、水たまりができるかどうかも播種までの整地や耕起作業によって決まってしまうからだ。施設栽培の場合にはさらにその後の管理によって、バラツキが大きくなる。
さまざまな圃場で作物のデータをとってみると、人によってこのバラつきの差が非常に大きいことがわかる。圃場内でほとんど差の出ない人もいれば、圃場内の差が大きい人もいて、個人による歩留まりの差は、天候の悪い時には30~80%にもなり得る。これはもちろん作物の揃いの差だけではないが、天候不順だと作物は傷みやすいので、圃場内に弱い株があればその部分から収穫できないものになっていく。悪い状態で揃っていたら全滅するかというと、そういうことはないのだが、圃場全体が良い状態であれば歩留りが落ちないというのは当然である。そして、バラツキの大きい圃場では経営が厳しくなるというわけだ。
断言してしまうと、優秀な農家がやっている方法をいくら真似してみてもうまくいかない理由は、ここにある。ほぼ条件が同じで似たような作業をしているはずなのに作物の出来が違う原因は揃いの違いなのだ。作物が揃っている圃場は、発芽までの一つ一つの細かい作業を確実に積み重ねた、間違いなく管理の行き届いている圃場なのである。

作業の意味を理解し丁寧に積み重ねるだけ

ところが実際の現場を見ると、それぞれの作業が効率優先で行なわれていたりする。いかにスピードを上げて作業をするのか、規模拡大をすれば作業の高速化は課題になるが、それを追求することによって作物の揃いが悪くなれば、かえって作物の出来が悪くなり歩留まりが落ちるということになる。これが前回書いた、大規模効率化による歩留まり低下の主要因である。
実はこの問題を解決するのは、非常に簡単なことである。バラツキが生じないように丁寧にそれぞれの作業を行なう、ということに尽きるためだ。もちろん、どんな理由でバラツキが生じるのかを理解した上ですべての作業を行なう必要がある。最悪なのは、作物の出来を揃えることの意味が見出せず、作業を行なおうとしてしまう場合である。

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