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今年の市場相場を読む

20年で変わったか、脇役野菜類
オクラ/サヤエンドウ/オオバ/ミョウガ

20年近い長い不況下にあって、消費者は必需品以外の購買を控えてきた。野菜にあっても主要な品目以外の支出を抑制し、“一品添える”余裕はなくなった。しかし、全体としては貧困のドン底というニュアンスよりは、節約志向というべきもので、食文化が成熟した後には食習慣は根強く残るものだ。バブル期終盤の1993年とやや景気も上向き始めた昨年13年との入荷動向を比較してみると、料理に絶対必要な食材以外の脇役的な野菜類でさえ、不況にも負けずに成長し続けてきたものがあることがわかる。いくつかの脇役野菜の食材としての位置づけや役割などを考察してみることにする。

オクラ
20年で6割入荷増でも単価は不変、冬の西南暖地と夏の東北で増産を

【概況】
東京市場のオクラの入荷を93年と13年で対比すると、入荷量全体では57%もの増加になっているが、平均単価はほとんど変わらない。同市場への入荷が3000tを超え、ベスト50にランクインした。単価が下がらないのに消費が増えているのだから、典型的な成長品目である。その原動力は鹿児島産で、かつて15%程度のシェアしかなかったが、今や入荷量で3倍以上も伸びて32%のトップ産地となった。
【背景】
冬場にシェアがあったタイ産が今ではフィリピン産に替わっている。大きな変化はピークである夏場を中心に、入荷量がほぼ倍増したことだ。もともとシェアがあった高知産に鹿児島産が加わって大きなピークを形成している。20年前に34%だった輸入品の割合は23%程度にまで縮小し、国産の代替傾向が見られる。関東では群馬産の伸びが大きいものの、まだシェアが低く、意外に沖縄や九州からの入荷が伸びてこない。

【今後の対応】
夏場に伸びているのは、この時期に“ねばねば系食品”が支持されているからだろう。消費が増えるなら夏秋産地である東北でもっと増産してもいい。また、冬場に輸入品のシェアが高い状態が続いているが、鹿児島に限らず、西南暖地での増加が待たれるところだ。この20年の伸びは、単なる健康志向ではなく、おひたしや揚げ物に一品添えるおいしい総菜としての位置づけを獲得したからに他ならない。長い品種や丸い品種などの多様化も必要だ。

サヤエンドウ
中国産入荷減に加え国産減が相乗、求められるスナップ系の広域生産

【概況】
東京市場のサヤエンドウは、93年から13年にかけて入荷が75%も減った。以前はアスパラガス並みの6000t以上も入荷量があったが、今や1400t、まるで泡沫品目である。93年というとちょうど中国産のスナップ系の輸入増加が始まったころで、その後、06年ごろが入荷のピークで2000tを超え、シェアも56%に伸びた。それが13年ではかつての1割程度、シェアも18%に落ちたが、なぜか同国産が1位のままだ。

【背景】
愛知産、鹿児島産、福島産が続くが、シェアは17~10%で“どんぐりの背比べ”状態だ。昭和60年代に中国産の輸入がなくても入荷量が9000tもあった(冬場に台湾産が一部あった)時代からすると隔世の感がある。手間のかかる豆類の代表格で、農家の高齢化が生産減に拍車をかけたが、この20年にあっては業務用需要が高いキヌサヤを使わなくなったこと、中国産が消費者から敬遠されたことなどが入荷激減の大きな要因になっている。

【今後の対応】
入荷統計の「サヤエンドウ」には、キヌサヤから中サヤ、それにスナップ系がすべて含まれる。そのうち、中国産が需要のパイを作り出したスナップ系に関しては、成長も見込まれることから、入荷推移を確認するために別統計にするべきだ。キヌサヤの捲土重来は期待できないが、甘くておやつ感覚で食べられるスナップ系はすべてのシーズンで増産が待たれる。高齢者に少面積で作ってもらい、広域で集荷するといった産地づくりに工夫も必要だ。

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