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人生・農業リセット再出発

鵜匠! ホント~?

Swallow(ツバメ)は、英語で「鵜呑みにする」という意味。“鵜の目、鷹の目”の視力で魚を捕らえて丸ごと飲み込む鵜呑み、のどにつかえてウッ!となるから鵜。
岐阜の長良川、6人しかいない宮内庁式部職鵜匠、杉山市三郎氏と会った。濃紺の漁服に腰蓑を巻き、烏帽子を被って、鵜飼の季節でないのに筆者のために着替えてもらった。1300年の伝統を引き継ぐ鵜匠家に生まれた男性しか跡取りになれない完全な世襲制、国宝級の方。奥さんが言う。嫁に来るときは「なんにもする必要はない、男の子を生んでくれれば良い!」と伝えられたとか。男の子が生まれないので離縁になった時代もあるそうだ。鵜匠は竹籠から鵜を取り出して首をつかみ、ひもを鵜の首に巻き、羽の付け根をぐるりと縛る。この“首結い”の締め加減が漁の成果を左右するとか。締めすぎると小魚が胃袋に行かないので空腹で消耗するし、緩すぎると漁の鮎がのどを通過して食べられてしまう。野生の海鵜でないと魚の捕り方を親から学習していないので使い物にならない。鵜は渡り鳥で、中継点の休息海岸が茨城県日立市十王町の断崖。竹垣に潜んだ「鵜捕り」が、舞い降りた鵜の脚を長い“かぎ棒”で引っかけて捕らえる。2歳ぐらいの若い鵜が素直、若すぎると漁の経験が浅く、年増だと飼い慣らすのに苦労するとか。一羽12万円。7年は働くそうだ。3年目あたりから漁に使え、動くものに対して敏感で油断すると眼をくちばしでつつかれるらしい。二軍選手も含めて小屋には21羽がいるが、違いを見分ける目印は付けず、毎日一羽ずつ触って会話するそうだ。すべての顔を覚え、健康状態、性格や意思の疎通、本番漁に出られる12羽のなかに使えるかを観る。鵜飼漁は5月11日から10月15日までで、休日は中秋の名月の1日のみ。緊張の連夜、体力と精神力勝負、腰蓑や漁服、4mの手縄も自分で作らないと危険な目に遭うこともあるという。12本の手縄を左手で握り、12羽の鵜が動いて絡まった縄を右手で引き抜き、左手に戻す手縄さばき。“人鵜一体”が鵜匠の腕の見せ所。鵜にも個体差があり、漁の最中に船の反対側でのどを通り越す小魚を腹いっぱい食べてサボるのもいるとか。車で帰宅する音で他の家族との違いを鵜たちは聞き分け、喜びの鳴き声はまったく違うそうである。目を細めながら鵜ののどをさする杉山鵜匠は、恋人みたいにかわいがっていた。鵜匠にとって毎日が単純であることが重要である……そこに哲学があった。息子が後継ぎを嫌だと言ったらどうするのか?
「高校生のころにミュージカルに連れていきました。音楽担当のオーケストラ、舞台近くで下働きのスタッフたち……いろいろ見せたうえで舞台が始まると、主人公にスポットライトが当たる。そして、言ったのです。たくさんの人たちがいても主人公は1人だけ。なろうと思ってもなれるものじゃない。それだけでした」

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