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【今年の市場相場を読む】
漬物野菜と輸入野菜 ナス・ラッキョウ・サヤエンドウ・アスパラガス
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第12回 1996年04月01日
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ナス 加工ナスの輸入拡大にかげりか 長ナス周年化と地物振興に期待
【概況】
ナスは、地域野菜としての地ナスを含め、年間を通じて重要な野菜類の一つである。とくに、漬物需要で根強い支持を受けており、食品の販売統計でも上位に「ナスの浅漬け」がランクされている。市場入荷も平成2年と6年を対比すると数量で6.8%伸びている。増加傾向にともなって単価はこの5年で6%程度安くなっているが、それでも東京市場の平均価格で310円である。
産地別では、周年対応の高知産が年間の平均で400円台、長ナスの福岡など九州産が300円台、関東産地が200円台、ナスの旬の夏から秋にかけての時期に出る東北産が 100円台と、みごとな価格分布を見せる。
【背景】
平成6年は入荷増で価格も低迷。とくにこの傾向は6~9月に顕著だった。その結果、平成7年は夏から秋にかけて反動で減少となったが価格は低迷した。
年間安定した需要がある品目にもかかわらず、市場入荷に年ごとに増減が激しく、価格も安定しない。そうした状況から、加工筋の需要が輸入品にシフトしてきている。ナスの海外での委託生産・加工は歴史もあり、技術も確立してきている。国産ナスが増えたことによって、その加工品の「ナスの浅漬け」が小売店に大量に出回ったのならわかりやすいが、昨年は6年に比べてむしろ生産量は減少している。加エナスの輸入拡大がそろそろ市場流通に影を落としてきたというべきか。
【対応】
ナスは、全国的に「千両系」のナスが共通品種となっている。これに次ぐのが九州などの長ナスだ。長ナスに関しては夏場を中心に出回らなくなる季節かおり、周年供給が待たれる状況である。とくに、3年前に福岡県の独占品種であった「筑陽」が解禁となったことで関東以北にも広がると思われたが、まだ転換は進んでいない。
東北地区にはそもそも地ナスとしての長ナスがあり、地元需要に対応しているが、一般に太く作ることから関東市場では評価が低い。これを九州産地並みの規格とすることで、全国ベースでの「長ナス周年化」が進展するのだが、そのためには各関係県の連携が必要となりそう。
このほか、地域によっては衰退傾向にある地ナスを振興、掘り起こして、地場消費拡大のための商材とすることも重要だ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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