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【今年の市場相場を読む】
漬物野菜と輸入野菜 ナス・ラッキョウ・サヤエンドウ・アスパラガス
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第12回 1996年04月01日
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アスパラガス 地場・季節野菜の役割も重要 完全周年化で“大衆野菜”へ
【概況】
東京市場におけるアスパラガスの産地構成は、まだ長野産がトップで22%のシェアかあるが、アメリカ18%、オーストラリア14%、メキシコ5%、ニュージーランド3%など輸入を合計すると、45.4%にも達する。そのため、平成3年と7年を対比すると入荷量では5・2%の伸びに対して単価は約19%安くなった。平均単価は7年でキロ829円ながら、国産は長野、福島、北海道などは920~930円、促成の群馬、長崎などが1200円前後。これに対して輸入物は600~700円という位置づけとなっている。
これら輸入品と国産との相関関係は、季節的な役割分担があることで、国産と輸入品とが“棲み分け”られていること。また量販品としての輸入品と、業務用で根強い支持がある国産とという棲み分けもある。
【背景】
ただし、たとえば7年中の輸入2万2700tのうち22%を占めるフィリピン産(ドール)や、タイ産(タニヤマ)などの市場入荷は少なく、量販店等に直納されている。また、東京市場では少ないものの、関西市場などでは、これらの周年産地のものの入荷の割合が高いのも特徴だ。
また、秋冬期のオセアニア産の輸入が拡大しているのも、大きな特徴である。そのためアスパラガスは本格的な周年野菜となり、消費の機会が増えることで、ブロッコリー、カボチャと並んで消費者の購入量が確実に伸びている品目となっている。
【対応】
季節での役割分担が明確になっているアスパラガスは、国産の端境期に輸入が増えたことで全国的な消費を喚起した。とりわけ、西日本での消費拡大は目を見張るものがある。また、周年にわたりごく一般的な野菜となったアスパラガスは、当然のことながら東京など大消費地向けの特殊な「促成野菜」としての位置づけから、地場の季節野菜としても扱われている。
選別の労力などの問題から、輸入拡大による全体的な単価安傾向に、生産意欲が落ちている産地もあるが、これからはむしろ地場の一般野菜としての生産―流通の部分に潜在需要があるといえる。地場対応であるなら、既存の束結束に拘泥することもなく、大束やバラ出荷も可能であり、生産・出荷コストの低減も誘導できる。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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