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海外レポート

タイ・チェンマイを訪ねて トウモロコシ生産を考える

3月に東南アジアのコメ輸出大国、タイに出向いた。実は、コメだけでなく、かつては飼料トウモロコシ輸出も盛んに行なわれていた国である。日本と同じように稲作を行なっている水田でどのようにトウモロコシを生産し、流通させているのだろうか。2回にわたって、レポートを届ける。1回目の今回は、タイの農業の概要とトウモロコシの生産方法についてまとめた。

「コメはどれだけつくっても
輸出すればいい」という発想

東南アジアのタイは、国際競争力を持つ稲作大国である。主食はコメ。銘々皿に炊いた白飯を載せ、その横におかずを何品か載せてご飯と一緒に食べる。麺類もコメが原料で、モチ米は竹筒に入ってくれば食事に、マンゴーとココナッツミルクと食べればスイーツにもなる。
順調に成長したタイ米の輸出量は2011年まで世界第1位を誇っていた。現在のインラック政権になってから政府の買取価格が高騰し、国際価格と見合わなくなり、12年、13年とその座を追われたが、水稲の生産量は成長を続け、12年には作付面積は約1260万haに及ぶ。ちなみにタイの農地面積は国土の4割を占める約2106万haである。
粗放的な農業スタイルが行なわれているかといえば、機械化が進み、トラクターの普及率は1割程度、コンバインは2割程度というから、技術革新がまさに進行中といったところだ。20年前は217kg/10aだったコメの収量も12年には同300kgと1.4倍に伸びている(FAO統計)。国内消費量も伸びているが、基本的に「コメはどれだけつくっても、輸出すればいい」という理由から成長産業と位置付けられるだろう。
タイでは、主要作物として稲作のほかにも飼料作物であるトウモロコシが生産されている。その面積はざっと108万ha(FAO統計・12年)。稲作と並行して、どのようにトウモロコシがつくられているのか、現場を訪ねてみた。

雨季に稲作、
乾季にトウモロコシ

首都バンコクの空港に到着すると、年間を通じて最高気温が30度を超える熱帯モンスーン気候の湿度の高い気候が迎えてくれた。飛行機を乗り継いで向かったのは、今回の視察先である北西部に位置する第二の都市、チェンマイ。右ページに降水量を示した通り、日本のような春夏秋冬はなく、雨が降り続く雨季とほとんど雨が降らない乾季に分かれる。5~10月が雨季で、11月~4月が乾季である。気温が高いという恵まれた条件下で二毛作、三毛作が行なわれている。

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