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特集

天候の異変を読む経営 異常気象時代に生き残るリスク管理


なお、観測地は結果を活用したいその場所とすることを理想とする。したがって、自分の圃場・園地で観測するべきで、近隣地や圃場・園地から離れた自宅で観測するのでは正確な予測を立てられないという。
ただ、興味のある向きは、気象庁のウェブサイトからAMEDAS(地域気象観測システム)のデータを取って、テスト的に寒だめし用のグラフを作ることができる。AMEDASは全国に約1300カ所の観測地点を配置しているので、自圃場の近くなど望む地点を選び、寒中30日の2時間ごとのデータをダウンロードして、エクセルなどのソフトで作表してグラフ化するとよい。これを現実の気象と付き合わせることで、寒だめしを模擬的に検証できる。
※ 注意:観測成果を元に自然科学的方法によって予想した結果を第三者に継続的に提供することは「気象等の予報業務」に当たり、予報業務許可を受けることが必要。

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水を制することが気象対策の第一歩
圃場の排水技術を押さえる

気象災害に対処するには、予測に力を入れる対策がある一方、それが起こってしまった場合に被害を最少化する対策というものもある。このうち、近年最も被災例が多いものとして豪雨にどう備えるかを考えた場合、最も重視すべきは圃場の排水性の確保だ。そのための4つの技術について押さえておきたい。

圃場の排水性確保の戦略は、2つに大別できる。1つは、雨水を圃場表面で横に移動させる表面排水。いま1つは、雨水を速やかに地下に送り込む、縦浸透による排水だ。
このうち、表面排水は22ページで触れた近年多発する短時間の強雨に対処できる戦略だ。一方、縦浸透を確保することは長雨に強く、また雨水の横移動による表土の流亡を抑えやすい戦略と言える。この両方に気を配り、地域が見舞われやすい災害に合わせてバランスを取ることが有効な対策となる。

【明渠は大量の水を短時間に排水する】

本誌記者が近年各地の圃場を訪ねて気づくことは、明渠を掘っている圃場が増えているということだ。それも、手掘りの溝のような狭く浅いものではなく、圃場の標高の低い側にバックホー(ユンボ)で深さ数十cm~1m以上の大きな溝を延々と掘っている例がよく見られる。
こうした明渠は幅を取るため、栽培面積の確保という点から言えば、一般にはあまり選択したくない対策だ。にもかかわらず、明渠を掘る圃場が増えているのは、短時間の強雨など従来に比べて激しい豪雨に襲われる場合や可能性が増していて、その対策が栽培面積確保より優先課題と見られていることを表している。

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