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【吉村明のみつひかり栽培日誌】
外食向けにも需要が伸び、販売にも自信が持てる
- 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
- 第4回 2014年04月21日
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「みつひかり物語」(4)
【実需者との出会い】
2003年は、タイ米の大量輸入があった93年(作況指数74)以来の「冷害」(同90)で、コメ不足懸念から前年比1俵約5000円高と米価が高騰しました(下図)。原料価格アップを販売単価に転嫁しづらい業務用米市場は大打撃を受けることになりました。一般品種の収量が軒並み減少するなか、生育期間の長い「みつひかり」への影響は少なく、こうした年でも12俵前後の収量を得ることができました。この特性に注目したのが、現在もみつひかりを積極的に取り扱っている大手米卸の神明と大手牛丼チェーンの(株)吉野家です。
この年の冷害が決定的となった10月、(株)神明・藤尾益造取締役部長(現常務取締役)から「みつひかりの現地圃場を見たい」との連絡がありました。(株)吉野家D&C・小内一茂バイヤー(現(株)吉野家ホールディングス商品部穀物野菜担当部長)と岡山駅で待ち合わせ、藤尾部長と吉村の3人で圃場を視察し、例年とほとんど変わらない生育のみつひかりをご覧いただきました。「米価の乱高下は経営に与える影響が大きい。安定的な価格帯で取引できる品質のバラツキの少ない品種・取り組みを探していた」と小内バイヤー。こうして04年から、吉野家を最終ユーザーとする「みつひかりプロジェクト」が立ち上がりました。初年度の集荷目標を3000tと設定し、中部以西の6県での「契約栽培」がスタートしたのです。
栽培のポイント(4)
圃場条件、作期などから目標収量を定めたら、「籾数をどのように確保するか」を考えます。基本設計は、〔穂数:300本/平方m〕×〔一穂粒数:150粒〕=4万5000粒/平方mです。より多収を狙う場合、一穂粒数の2割アップ(180粒以上)を目指します。
施肥体系:みつひかりは穂重型の稲で分げつは旺盛ですが、穂につながりづらいため、「元肥重視」の施肥体系となります。一般品種の約2~3割を増肥の目安(速効性の肥料で7~8kg/10a程度)とし、初期分げつを確保してください。移植後、10日経過しても葉色が濃くならない場合は問題あり。肥料不足の場合は硫安等で追肥してください。有機物分解による根痛みがある場合は、水を落としてガス抜きが必要です。
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吉村明 ヨシムラアキラ
三井化学アグロ(株)
営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー
1962年生まれ。1988年 北海道大学大学院農学研究科修了。同年 三井東圧化学(株)(現三井化学)入社、農業資材開発に従事(北海道工業所勤務)。1996年 本社異動後、ハイブリッドライス事業開発を担当になる。2000年に事業ごと三井東圧農薬⑭(現三井化学アグロ)に異動し、現在に至る。17年間「みつひかり」をライフワークに、全国を飛び回る。
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