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特集

私家版・農業界だけで通用する用語辞典



【家族経営協定】かぞくけいえいきょうてい
農水省や自治体は仕事熱心である。何しろ家族経営協定の締結促進という仕事も作って、農家の家族一人ひとりの働き方にまでアドバイスをくれるからだ。農水省は家族経営協定を次のように定義している。
「家族農業経営にたずさわる各世帯員が、意欲とやり甲斐を持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指し、経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき、取り決めるものです」
この協定を結べば、自治体から賃金から休暇の取り方にまでありがたいアドバイスをいただけるのだ。その締結の手順は次のようになっている。
(1)
家族で話し合う=家族で経営の現状や課題を整理し、今後の経営方針、家族の就業条件、生活の目標など要望を話し合い、明らかにします
(2)
対策を考える=話し合いを踏まえ、わが家の経営課題の解決方法や、経営方針や生活目標を実現するための具体策について、どのような取り組み(協定)が必要かを話し合い、項目をあげます
(3)
協定を結ぶ=家族で話し合った結果に基づき、協定書を作成する。協定書の締結に当たっては第三者の立会人を入れることで、当事者一人ひとりの意識を高められる
(4)
協定を実行して内容を見直す=締結した内容が実行されているかどうかを見直し、必要に応じて新たな項目や内容を追加する
この手順を踏めば、「ストレスや不満のない」「意欲的に働ける環境の整った」職場を作れるそうだ。そのためか家族経営協定は人気を博しているようで、締結数は年々増加中。02年に2万1575だったのが13年には5万2527になった。ここまで増えたのには他にもいくつか理由がある。一つは県の普及指導員が熱心に勧めてくれるからだ。農業者が嫌がっても、一生懸命説得しに来る。普及員といえどもサラリーマン。ノルマがあれば果たさねばならないし、実績を作らねばならない大人の事情があるのだ。
それに家族経営協定を結んでもらうため、農業者においしい果実をたくさん用意している。たとえば農業者年金で基本となる保険料の一定割合を国庫で助成してもらえる。農業に携わる女性や後継者も農業近代化資金や経営体育成協会資金の対象となる。さらには農水省などが主催する農林水産祭の表彰状を夫婦連名でもらえるというおまけつきだ。
家族経営協定によって幸せになる農家をよほど作りたいのだろう。地方自治体によっては市農業委員会や試験場、普及指導センターの職員立会いのもと家族経営協定の調印式まで行なっているところもある。「君たちは幸せになる」というお墨付きを与えてくれるわけだ。

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