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特集

私家版・農業界だけで通用する用語辞典


一方、ヨーロッパでは単位面積当たりの投下薬量が規定され、日本のように100リットル/10aもの水量を使うことはまずない。日本の水資源が貴重なことも関係しているのだろうが、水は薬剤を散布するための媒体という認識から、日本の半分以下の散布水量で作業している。スプレーヤーの薬液タンクに水を汲む回数は必然的に減り、経営規模が大きくても効率的な作業が実現できている。
日本でも無人ヘリコプターによる散布や25リットル/10aの少量散布での登録が増えてきているが、果たしてこれでいいものか。
《水量は慣行で》
農業者一般から聞かれる防除に関する表現。実際に作業してみるとわかるが、100リットル/10aの散布水量では作物から薬液が地面に滴り落ちる量が結構ある。ヨーロッパ方式ならそんなこともあまりないのだろうが……。
《慣行散布でないと安心できない》
これも農業者一般から聞かれる防除に関する表現である。昔から行なわれてきた“慣行”なだけに、それから逸脱してしくじれば何を言われるか、こういう気持ちはわからないでもない。が、周囲を見渡せば茎葉が繁茂する作物でも25リットル/10aの少量散布で最後まで通し、病気を発生させていない農業者は存在する。水汲み回数を減らして防除を早く済ませ、余った時間は余暇にという人もいるくらいなのだ。

【馬鈴薯】ばれいしょ
馬鈴薯とはジャガイモである。あのイモは、オランダ東インド会社が支配していたインドネシアのジャカトラ(現在の同国首都のジャカルタ)から鎖国中の日本の出島に入って来たことからジャガタライモ、それがなまって「ジャガイモ」と呼ばれるようになった。しかし、江戸時代の本草学者、小野蘭山が、中国の『松渓縣志』という書物に出てくる「馬鈴薯」をジャガタライモに似ているとして同定したことで、ジャガイモと馬鈴薯の2つの呼称が残ってしまうことになった。
後にジャガタライモは中国で呼ばれる馬鈴薯とは無関係であることが判明したのだが、後の祭り。今日、一般には「ジャガイモ」という言葉が浸透しているのだが、農水省では「ばれいしょ」と「馬鈴しょ」を、国公立の試験研究機関では「バレイショ」を採用しており、この呼称を変える気はなさそうだ。
《ばれいしょの生産量、消費仕向量等の推移》
農水省の「主要農畜産物の生産等の動向」にある統計の名称。ジャガイモのうち、でん粉原料用は政府管掌作物だが、この線引き自体に消費と生産の乖離が感じられる。生産量も生食用や加工食品用より多い。

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