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特集

私家版・農業界だけで通用する用語辞典


《バレイショ栽培技術研究チーム》
国のジャガイモ育種機関の名称。生食用品種で言えば、海外から導入した男爵薯(Irish Cobbler)とメークイン(May Queen)が明治、大正の時代から未だに生き残っている状況にある。需用者も生産者もニーズにマッチしたジャガイモ新品種を切望しているが、同機関による育成と普及が十分に進んでいるとは言えない。機関名がバレイショであってジャガイモではないことが関係しているのかもしれない。
《タマゴボーロの原料表記にある「ばれいしょでん粉」》
一般消費者が「ばれいしょ」という特殊な用語に触れる機会として最も多いと思われるのは、小さい子供を持つ母親がタマゴボーロを買おうとして原材料表示を見るときである。しかし、「ばれいしょ」が「ジャガイモ」を意味すると気づく消費者が何割いるのかは不明である。
ちなみに、小売店の店頭では「男爵」「キタアカリ」のようにジャガイモの品種名の表示はあっても、「馬鈴薯」「馬鈴しょ」「ばれいしょ」「バレイショ」を見かけることはまずあり得ない。

【甘藷】かんしょ
甘藷とはサツマイモである。ちなみに、同じ読みでも「甘蔗」と書けばサトウキビのことである。
サツマイモは、1605年に中国から琉球王国(現在の沖縄県)に伝わり、ほどなく薩摩藩(現在の鹿児島県)に伝来したとされる。中国ではサツマイモのことを「甘藷」と呼ぶ。江戸時代、享保の飢饉のときに甘藷を栽培していた薩摩藩で餓死する人が少なかったという情報を幕府が得、以後、救荒作物として普及する。それとともに「サツマイモ」という呼称が定着した。前述のジャガイモと同様、一般にはサツマイモという言葉が浸透するなか、農水省では「かんしょ」を、国公立の試験研究機関では「かんしょ」「カンショ」「サツマイモ」が採用されている。
《かんしょの生産量、1人当たり供給数量等の推移》
農水省の「主要農畜産物の生産等の動向」にある統計の名称。小学生の自由研究でサツマイモをテーマにする場合、果たして無事にこのデータにたどり着けるだろうか。「サツマイモ」が見当たらず、あきらめて別の作物を選ぶ可能性が大である。
《ほしキラリ》
農研機構の品種・特許の一覧表にあるサツマイモ関係のとある品種だが、この表のカテゴリ列には「食用作物かんしょ種」とあり、概要列には「サツマイモ『ほしキラリ』は……」とある。組織内で分類や名称に関する取り決めがあるのだろうが、一般的な感覚からすれば同じものを指す言葉がなぜ2つ存在するのかが不可解である。なお、別の品種では、カテゴリが「かんしょ種」で変わらずも、概要で「カンショ」となっている。

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