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吉村明のみつひかり栽培日誌

やや遅めの強い中干しで、倒伏に強い稲に

  • 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
  • 第5回 2014年05月19日

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栽培のポイント(5)

前号までに生育初期の管理について述べました。目標穂数の300本/平方メートルを確保するには坪60株植えを推奨しています。通常の圃場では「耕盤」がしっかりとあります。いつまでも水があると耕盤の上で根が止まり、大型の稲を支える土台が浅く重心が高くなり、倒伏の危険が高まります。強い中干しを行なうことで、耕盤がある圃場でも水を求めて根が地中深く入っていき、倒伏に強い稲をつくります。しかし、強い中干しは、穂になり得る有効茎を抑えてしまう傾向にあります。そのため、疎植にし過ぎず、面積当たりの穂数を確保(=収量確保)するように、とお話しています。

移植後の栽培管理のポイントとしては4つあります。

(1)
浅水管理で初期分げつを促進します。田植え時期・圃場条件によりますが、有効茎を確保できるのは移植後30~45日まで。その後の分げつは無効茎となり、収量増にはつながりません。深水にしておくと分げつが進まず、穂数不足の原因となります(図2)。
(2)
移植後10~14日経過しても分げつが増えてこない場合は肥料不足でないか確認してください。肥料不足の場合は、硫安などで早めに分げつ肥を施用してください。
(3)
葉の枚数が3枚以上ある茎が必要穂数(前号参照)に達したら中干し開始。入水まで完全に干し上げて構いません。中干しが早過ぎると有効となる穂も消してしまう可能性がありますので、ご注意ください。
(4)
中干し後の入水開始は幼穂形成が始まるころ。入水が早いと下位節を伸ばす原因となります(次号参照)。

生産者インタビュー
「みつひかり」は
直播向き!?

今年でみつひかり栽培8年目を迎える千葉県I市の(株)新田野ファーム(藤平正一社長)。栽培のきっかけは耕作面積が80haを超え、晩生品種を栽培して刈り取り時期を分散する必要に迫られたため。みつひかりの収量・作業性には満足するものの、寒い時期のみつひかり育苗は苦労が絶えず、安定した栽培体系確立が急務だった。
そこで、3年前より、育苗の要らない直播栽培として「鉄コーティング種子のラジヘリ播種」(協力:ヤンマーアグリジャパン(株)関東甲信越カンパニー)に挑戦し、2年連続で反収12俵を実現した。「田植えまでに生育を揃えなければならない育苗より、直播の方がみつひかりには合っているかも」と話す。今年のみつひかりの直播は約3ha、年々割合が増え、生産コスト削減にもつながっている。

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