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編集長インタビュー

食管制度の呪縛が解けぬ農業界 時代の変化に合わせて経営は変化するもの

政策転換で「減反政策の廃止」という文字が新聞各紙の一面を躍った。2002年米改革大綱の時点で、建前上は生産調整を国がやらないということになっていたはずの問題が、なぜ再び騒がれたのか。政策を打ち出す農水省ではなく、食べてくれるお客様の状況を勉強して新しい展開を考えるべきだと、以前から市川稔氏は指摘していた。廃止されてから約20年も経つ食糧管理法時代からの呪縛、コメの値段、流通の変化、経営者としての歩き方などコメ流通のプロはどう見ているのだろうか。
コメの値段は
誰が決めるのか

昆吉則(本誌編集長) 市川社長と前回対談させていただいたのは、2002年の米改革大綱が出たときでした。その時点で、コメの生産調整は国がやるのではなく、農家あるいは生産者団体が独自の判断でやるということでしたが、今年の政策転換では、飼料米に法外な交付金をつけて農家にモラルハザードを起こさせるようなことになっています。はじめに、この数年間、コメの流通は滅茶苦茶な状況で大混乱していたといっていいと思うのですが、この間の経過について解説いただけますか。
市川稔(いちかわライスビジネス(株)代表取締役) 私は解説する立場じゃないけれども――2010年に民主党政権で戸別所得補償政策が出されて、お金がもらえるから相場が少し下がってもいいという雰囲気もあって、10年産はドンと価格が下がりました。かなり流通も安いコメになって、業者は大変ですが、安くなるといろいろな面で活性化します。ところが、今度は11年産の価格を上げて、12年産を売り先もないのに高値で設定して、そこからまた、おかしくなりました。
昆 誰が高値にしたんですか?
市川 コメの値段を誰が決めているかといつも議論になるんですが、結局、悲しいかな、結局農協の概算金をいくら払うかによって相場が形成されていくというのが、現実ですね。民間の業者はその金額に対してプラス500円払うとか1000円払うとかやらないと集まりませんから、そこが基準になってしまうんです。それを無謀にも高くしたものですから、相場が12年産、13年産と上がりました。その12年産が売れ残って今日まで来て、売れ先見込みのない25年産を35万t隔離するというのが4月25日に発表されましたけれども、そういうバカげたことになるわけですね。
昆 結局、農協はやりきれなくなって、あの段階から今に至るまで巧妙に状況を作ってきたんじゃないかなと私は思ったりもするんですけど。
市川 年々農協、全農に集まるコメが減っていますよね。12年産を高値で出したというのは全農の集荷分を300万tに回復したいという思惑があって、ある商社と組んで、全農のコメで価格を自分たちが動かすという野心があったのではないかと。結果的に失敗して、責任は誰もとらず、市場が混乱をして、今日の結果になっていると思います。

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