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編集長インタビュー

食管制度の呪縛が解けぬ農業界 時代の変化に合わせて経営は変化するもの


昆 良品質の高いお米を作ることが偉くて、とことんコストダウンして、安いお米を供給する仕事は身分が低いかのような考え方をする人もいないわけではない。ただその7~8割の人は、コメづくりが事業的というか経営的には関係ない、大規模補助金付き家庭菜園なんですよ。
市川 最近はよく生産費が話題に出てきますよね。ところが、生産費というくらいおかしな考え方はなくて、生産者が100人いれば、生産費は100通り違うわけじゃないですか。努力して安くつくる人と、高級資材を使ってコスト高いことを無視しても趣味的にそういうコメをつくりたいんだという人など、いろんな人がいていいわけです。
昆 実際問題、7000円以下でつくれる人っていうのは結構いたりするんです。みんなはあまり言いたがりませんから、やる人は当然そういうことに取り組んでいます。
市川 世の中の動きとか流れとか、時代の変化とか、逆に変わらないものとかを勉強して、分からなかったら、分かる人に聞きに行く。その中からそのアイディアが出てくる。自分の棲家をはっきりさせていくということをやっていかないと、お客様が悪いという話にまでなってしまう。結局、全部人のせいにしていては何にも解決しないですよ。自分が何をできるのか、それを存在領域って呼んでいるんですけれど、自社の存在領域をどこに定めるか。農家であれ、商店経営であれ、会社経営であれ、うちはどこに生きていく場所があるのかっていうのをみんな探していると思います。それがはっきりすると、打つ手がわかる。はっきりしないから、どうしたらいいのか分からないんですよね。
昆 自分が果たすべき役割、自分の得意分野を定めたらそれを突き詰めればいいんだけど、中・長期展望としてどういう方向性を持つのか、だから誰と付き合うのか。単年度じゃなくて、3年契約ぐらいにして、それは状況を見ながらやっていくくらいのことが必要だってことですね。

新しい商品価値を求めて
常に経営の中身は変えていく

昆 ところで、いちかわライスビジネス(株)になって何年になるんですか?
市川 ちょうど今年で20年ですね。それ以前はいちかわアクト(株)という会社でファミレスを中心に全国に業務用のコメを卸していました。それにスーパーマーケットなどの卸と、「きゅうさん」という直営のお店を全部で24店舗やっていたのかな。
昆 はじめから「きゅうさん」はやっていたんですか?
市川 白米を置いていましたけど、今のお店と形態は全然違いますよ。94年9月30日に、土地と建物、設備にお客さんをつけて、約20億円くらいで商社に売却したんです。私からじゃないとコメ買わないというお客さんを残して、翌日に今の会社をスタートしました。精米工場もない、社屋もない、お金もない、資本金だけ何とか集めてというのがスタートです。お客さんも変わり、売り方も変わり、売るコメも変わりました。普通のコメでは勝負にならないので、農家さんと直接取引するようになり、精米工場がないから、玄米で売って、店舗で精米する。ないないづくしで、逆に考えました。

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