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編集長インタビュー

食管制度の呪縛が解けぬ農業界 時代の変化に合わせて経営は変化するもの


昆 小ロットの玄米で商売するということしかできなかったから、それをやられたんですね。
市川 そうです。うちで使える精米機をつくろうという話になり、その精米機の開発に携わったり。自社のブランドであの頃、精米機を1000台以上、売りました。すぐにそのブームも消えてなくなりましたけど、そのときは食い扶持を支えてくれました。それが20年の間にどんどん変わってきています。当時のやり方をもし続けていたら、今何もないです。完全になくなっています。
昆 市川ライスビジネスを始めたときの仕事をやっていたら、とっくに潰れていただろうというところが肝心なところですよね。
市川 同じことをやっていたら、どんどんマーケットが減っていってしまうんですよ。今は自前のブランドの他に、産地で精米までをやって大手の通販に直接入れる仕掛けづくりもしてます。
昆 そうすると、また大きな流通にも関わってきちゃいますね(笑)
市川 そうですね。以前も大量に扱っていたのですが、それは原料でした。今回は自前の設備をつくるのではなく、今あるものを利用して、また一番競争力が高い、生産者に一番近いところで最終工程までやって、配送センターに直送するやり方で。
昆 その他の取り組みは?
市川 日本の少子高齢化の話ですが、平均寿命って聞きますよね。日本は世界でトップとか二番目とか……。その一方で「健康寿命」という考え方があって、何歳まで元気で生きていられるかという年齢のことです。昆さんのような団塊の世代の人たちはあと10年くらいでしょうか。その健康寿命を延ばすことができないか、そのためのお米、啓蒙、食生活のあり方などの情報コンテンツを発信して、そういう生き方や暮らし方、食べ方に賛同してくださる方向けにビジネスを考えています。
昆 お客様は全員である必要はないってことですね。
市川 そこに私どもの存在領域をそこに求めて、いま一生懸命にやっているところです。成功するかどうかは分かりませんけど、何かやっていかないとどうしようもないので。
昆 少なくとも今の高齢化社会がこれから何年間も続いていくなかで、健康というテーマで、お米の枠を超えて他の品物を混ぜるということ以上に、もっと別のお客さんの満足、あるいは情報提供することによって収益が出る。実はそういうことで生産者の価格も補償していくということなんですよね。
市川 そうですね。原料というくくりで言ったら、価格も叩かれるわけだから、我々の仕事ではそこからどうやって抜けていくか。以前は一日100tくらいの大量の玄米を白米にする仕事をやっていたのですが、それは食管法があった時代の原料のビジネスでした。そういうのはもっと巨大な会社がやる仕事なので、一度会社を失敗してから、会社を大きくしないで中身を変えていくって決めたんですよ。ファミリー経営でね。まだ思い通りにはなっていませんけど、それをやり続けています。

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