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【弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖】
境界線をめぐる紛争の解決
- 弁護士 戸出健次郎
- 第11回 2014年05月19日
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私は、祖父母の代から引き継がれてきた農地を耕作しているのですが、隣地を耕作している方と、農地の境界線をめぐってトラブルになっています。農地の境界線を確定するのがお互いのためだと思うのですが、話合いがまとまらず困惑しています。このような場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
【回答】
まず、大前提として重要なことは、土地の境界線は公的な性質を有するものであり、隣地当事者間の話合いによって自由に決めることができないということです。仮に、当事者間で合意をしたとしても、何ら公的な効力が生じないので、トラブルが再燃する恐れがあります。
そこで、公的な確定作業が必要となりますが、その手段としては、(1)筆界特定制度(以下「特定制度」といいます)、(2)筆界確定訴訟(裁判)(以下「裁判」といいます)の2つがあります。
【解説】
1 2つの制度の関係
かつては、土地の境界線を定めるために裁判をするしかありませんでした。しかし、一般的に裁判は時間がかかること、当事者の費用負担が重くなりがちであること、日本人が裁判制度そのものに対して強い抵抗感をもっていることなどの理由から、特定制度が平成18年に新設されました。
どちらを選択するかは、当事者の自由ですが、裁判による決定を後で覆すことができないのに対し、特定制度による決定を裁判によって覆すことは理論上可能です。ただ、特定制度による決定及びその判断過程は裁判において重要な証拠となり、事実上覆すのは困難と言われています。そのため、原則的には、コスト的に安価で早期解決が期待できる特定制度をお勧めしていますが、当事者間の対立が激しく、特定制度による決定をしても、当事者のいずれかが裁判を起こす可能性がある場合、最初から裁判を選択するべきと考えます。
まず、大前提として重要なことは、土地の境界線は公的な性質を有するものであり、隣地当事者間の話合いによって自由に決めることができないということです。仮に、当事者間で合意をしたとしても、何ら公的な効力が生じないので、トラブルが再燃する恐れがあります。
そこで、公的な確定作業が必要となりますが、その手段としては、(1)筆界特定制度(以下「特定制度」といいます)、(2)筆界確定訴訟(裁判)(以下「裁判」といいます)の2つがあります。
【解説】
1 2つの制度の関係
かつては、土地の境界線を定めるために裁判をするしかありませんでした。しかし、一般的に裁判は時間がかかること、当事者の費用負担が重くなりがちであること、日本人が裁判制度そのものに対して強い抵抗感をもっていることなどの理由から、特定制度が平成18年に新設されました。
どちらを選択するかは、当事者の自由ですが、裁判による決定を後で覆すことができないのに対し、特定制度による決定を裁判によって覆すことは理論上可能です。ただ、特定制度による決定及びその判断過程は裁判において重要な証拠となり、事実上覆すのは困難と言われています。そのため、原則的には、コスト的に安価で早期解決が期待できる特定制度をお勧めしていますが、当事者間の対立が激しく、特定制度による決定をしても、当事者のいずれかが裁判を起こす可能性がある場合、最初から裁判を選択するべきと考えます。
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戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
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