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【小川幸夫の虫の世界から見る農業】
続・畑の昆虫ハンター、カマキリ
- 小川幸夫
- 第6回 2014年05月19日
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1つの卵鞘から現れる幼虫は数百匹に及ぶ。カマキリはさなぎにならない不完全変態という性質を持ち、生まれた幼虫のときからカマキリの形をしている。5月までに次々と誕生し、この時期の畑はカマキリの幼虫だらけになる。しかし、最終的に生き残る個体はほんのわずかで、いかに生存競争が激しいかが想像できる。とくに無防備な状態で生まれる瞬間はアリの攻撃を受けることが多く、また生まれたての個体は弱小で歩行性のクモなどに簡単に捕まってしまう。とはいえ、その時期を過ぎれば、昆虫間の食物連鎖の上位に立つ恐怖の存在になる。
脱皮とともに大きな獲物に
カマキリは益虫か害虫かとても判断が難しいが、筆者は益虫に分類している。なぜ判断が難しいかというと、害虫も益虫も食べてしまうため、その時々でどちらともいえてしまうからだ。だが、カマキリは畑の肉食昆虫のなかでは上位に位置しており、そのおかげで偏りがちな害虫と益虫のバランスが保たれている。したがって、カマキリのような肉食昆虫は畑に欠かせない。
さて、カマキリは生まれながらにしてカマキリの格好をしていると述べたが、それは生まれた直後から獲物を捕れるということでもある。そんなカマキリのすごいところは、自分の体の大きさに合わせて獲物を変えていくところだ。脱皮を繰り返し、自分の体が大きくなるにつれて食べる獲物も大きくしていくという食性の広さは他の昆虫にはなかなかない。
生まれて間もないチビッコカマキリたちの餌は、アブラムシやダニ、コナジラミ、アザミウマといった極小害虫などになる。4~5月といえば、筆者のところではよくイチゴの畑に小さなカマキリが集まるが、これはイチゴに群がる小さな害虫たちを捕食しにきているからだ。極小の害虫を食べて脱皮すると、今度はハエやアブ、ハチを餌にする。こうして自分の成長とともに食べる獲物を変えていき、夏のセミや秋の大型のバッタ類など、ターゲットを変えて大きくなっていく。
脱皮とともに大きな獲物に
ターゲットを変更
カマキリは益虫か害虫かとても判断が難しいが、筆者は益虫に分類している。なぜ判断が難しいかというと、害虫も益虫も食べてしまうため、その時々でどちらともいえてしまうからだ。だが、カマキリは畑の肉食昆虫のなかでは上位に位置しており、そのおかげで偏りがちな害虫と益虫のバランスが保たれている。したがって、カマキリのような肉食昆虫は畑に欠かせない。
さて、カマキリは生まれながらにしてカマキリの格好をしていると述べたが、それは生まれた直後から獲物を捕れるということでもある。そんなカマキリのすごいところは、自分の体の大きさに合わせて獲物を変えていくところだ。脱皮を繰り返し、自分の体が大きくなるにつれて食べる獲物も大きくしていくという食性の広さは他の昆虫にはなかなかない。
生まれて間もないチビッコカマキリたちの餌は、アブラムシやダニ、コナジラミ、アザミウマといった極小害虫などになる。4~5月といえば、筆者のところではよくイチゴの畑に小さなカマキリが集まるが、これはイチゴに群がる小さな害虫たちを捕食しにきているからだ。極小の害虫を食べて脱皮すると、今度はハエやアブ、ハチを餌にする。こうして自分の成長とともに食べる獲物を変えていき、夏のセミや秋の大型のバッタ類など、ターゲットを変えて大きくなっていく。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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