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カマキリのすごいところは食性の広さにとどまらない。夜間も活動できるのだ。夜に動く昆虫といえば蛾など害虫が多いが、それを目で捕らえては鎌でつかまえて食べてくれる。夜は活動できない同じ昆虫ハンターの狩人蜂たちとはまた違った働きをしてくれるわけだ。
環境の変化に順応し、勢力を
維持するハラビロカマキリ
日本ではカマキリの種類は約10種類ほど存在する。主に畑のカマキリは、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリの4種類になる。
オオカマキリとチョウセンカマキリはかなり似ているが、後ろ羽の色が異なる。チョウセンカマキリが薄い色なのに対して、オオカマキリは紫褐色をしている。また、チョウセンカマキリの胸はオレンジ色であるのが特徴だ。
ハラビロカマキリは、少し小型で名前のとおり腹が広くて膨れており、羽に白い紋がある。コカマキリの仲間はさらに体が小さく、前足の内側に黒い帯が認められる。
ただ、コカマキリも近年では見ることが少なくなってきた。これは雑草を刈ってしまうことが原因だと思う。そんななか、最近よく目にするのはハラビロカマキリだ。このカマキリは、人工の建造物の壁に卵を産み付けられるため、人間と共生しやすい。そのため、筆者のような都市近郊農業では自ずとハラビロカマキリを見かけるわけだ。
一方、草の枝に卵を産み付けるオオカマキリは、人間によって草刈りされてしまった場所では卵鞘を産む場所がないことから、仕方なく野菜の茎を選ぶこともある。しかし、軟弱な野菜の茎に卵鞘を産み落としても、翌春まで茎がしっかりしていないと卵自体がダメになってしまう。したがって、一部荒地のような場所も残っていないとオオカマキリは繁殖できない。
収穫後の野菜残さに
卵鞘あり
畑の周りに草地や樹木、建造物などがあると、お腹を膨らませた母カマキリは自分で卵鞘を産みやすい場所を選ぶ。適当な場所がなければ、畑の中に卵鞘を産むことになる。時期的には秋で、畑の野菜の残さを片づける際によく卵鞘が付いていないか確認されたい。とくにアスパラガスやオクラ、モロヘイヤなど草の枝のような野菜残さのところにオオカマキリの卵鞘が付いている。処分する前に捕獲し、翌年の春にぜひ畑に戻してあげたいものだ。筆者のところでは畑の野菜残さに付く卵鞘を畑から回収し、翌年の春にまた畑へ戻している。
ちなみに、カマキリの卵鞘も成虫と一緒で、その形状とどこに産み付けられているかでどのカマキリの種類かを判別できる。オオカマキリは大きな泡の塊状で草木の枝に付いているのに対して、ハラビロカマキリは小さな硬い丸型で木の枝や壁に付いている。また、チョウセンカマキリとコカマキリは細長く薄くベタっと木の枝や壁に付いており、コカマキリのほうがやや小さめになる。畑の中に産み落とされる卵鞘はほとんどがオオカマキリのものだが、他のカマキリの卵鞘もたまにあるため、それぞれの卵鞘の形を覚えて保護してみてはどうだろうか。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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