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岡本信一の科学する農業

儲かる農業のマニュアルとは?

栽培ごよみと呼ばれるものがある。播種の方法、施肥の量や時期、防除の方法や時期など細かく書かれたものから、かなり大雑把に書かれたものまである。当初は参考にしたと思うが、ある程度栽培年数を重ねると役に立たなくなる。いろいろな経験を乗り越えて工程を改善し、次第に栽培方法に自らのアレンジを加えるようになり、独自の栽培体系を構築されている場合もあるからだ。
一方で、農業界ではマニュアル的な手法は邪道で、気に入らないという人もいる。しかし、個人農家が雇用するにしても、新しくさまざまな技術や機器を導入するにしても、スタッフが適切な作業をできるように説明するためのマニュアルは必須である。私が言っているのは、機器の取扱説明書のようなものではなく、栽培過程を網羅したマニュアルのことだ。マニュアルは、土壌条件を始め農家によって違うので細かなアレンジが必要なのは当然である。
どのように作業をするべきなのか、いつすべきなのかはそれぞれの農場において、優秀な農家の方には決まり事があるはずである。それらをマニュアルとして残すことにはさまざまな意味があるように思う。
大規模農場の場合、これまでの経験をオペレーターや従業員に伝えられる。家族経営的な規模でも、万が一、農場主が一時的に入院するなどしたときでもスムーズに仕事内容を伝えることができる。もちろん、親子間の技術の継承にも役立つだろう。さらに言えば、今後増えてくるであろうグループ間での技術の共有など、あらゆることに利用可能である。今後は法人経営や大規模な農家も増えて、個人の技量に頼るような農業では限界が来るだろう。なにしろ、多くの経営では、現場での細かなノウハウというのは一人の頭のなかにしか存在していないからだ。
若い経営者が耕起の仕方を事細かに書き込んだブログを複数見かけて関心したこともあるし、ハウス栽培の経営者が、すべての作業においてノウハウを詰め込んだマニュアルを作成しているのを見たこともある。実用的な側面と自らの作業を振り返る意味も含めて、自らの農場の栽培マニュアルを作成するというのは、おもしろいと思う。それだけでなく、積み重ねていけば、現実に農場の経営に役立ってくるだろう。

マニュアルは固定的でなく常に変化し続けるもの

最初に従来の栽培ごよみの欠点は何かについて考えてみよう。
まず、一番問題なのは、手順だけが書かれていて、なぜという理由が書かれていない点にある。例えば、施肥作業を見てみよう。多くの場合に、施肥量と施肥時期が書かれている。しかし、圃場によっては最適な施肥量が違うこともある。なぜ、その施肥量が必要なのかという理由を書くということによって、マニュアルを見た人が納得して施肥作業ができたり、必要に応じてアレンジしたりするかもしれない。

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