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新・農業経営者ルポ

地域と歩む企業養豚の経営者


大谷は養豚場を構える地域の耕種農家とのこうした連携を広げたいと考えている。養豚場を構える秋田県北秋田市でも今年から地元の耕種農家と100haで飼料用米の契約栽培をしている。一方で気になっているのは、飼料用トウモロコシを自給する可能性についてである。
「忘れてはいけないのはトウモロコシなんじゃないかと。国内で生産できるんじゃないかって思うんです。国内には遊んでいる農地がたくさんある。だったらそこで試してみる価値があるんじゃないかと。だから、検討してみたい。コメにしてもトウモロコシにしても課題は流通なんですよ。ここをどうするか、ですよね」

若者は世界に出ろ

フリーデンは大谷が社長になったように同族企業ではない。3代目は銀行マンだったが、そのほかは生え抜きの社員が就任している。
「私はよく農家やこれから農業を始める人たちに言うんだが、みなさん方が経営するなら番頭さんを置きなさいと。親や社長、後継者のことをよくわかっている人を置きなさいと。やる気があって優秀な人間が会社のトップに立てばいいんです。オーナーの子どもだから、トップに立てと言うのが間違っているんですよ。そうした考えを持っていては、これからの日本の農業は危うい」
未来を担う人材を育てるため、1年間に及ぶ海外研修の制度を設けている。養豚や加工品づくりなどを学ぶ機会を与えるためだ。
「でも残念なことに、今の若い社員たちは海外に行こうとしない。海外旅行ならすぐに行くんですけどね(笑)。でも、グローバル化の時代ですから、輸出も真剣に考えていかなければいけないし、海外の事情に明るくなってもらいたい。これから海外に目を向けてくれる人たちが数多く出てくれば非常にうれしいですね」
かつて日本を飛び出し、アメリカで近代養豚経営を学んできた大谷。海の向こうで学んできたことは、今のフリーデンの礎となっている。社長となった今、自分と同じように高い志を持った人たちが海外に向かい、会社の発展に貢献してくれることを願っている。(文中敬称略)

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