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シリーズ水田農業イノベーション

水田農業イノベーション研究会2014 第1回:水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会


従来のロータリー耕と代かきを行なっている圃場では、耕深が12~13cmで、耕盤層があり、大型トラクターの影響で圧密層ができているため、コメはとれても小麦や大豆の収量は伸びない。そこで、プラウ耕・鎮圧体系で25cm程度掘り起こして無耕盤にして、必要に応じて鎮圧をすれば輪作稲作に適した圃場となるという。秋田県の大潟村は極めて排水の悪い重粘土質土壌の軟弱地盤だが、乾田直播が成功しており、乾田直播の不適地とされるエリアでも基盤改良と輪作により可能になった事例を示した。
乾田直播について、苗立ち率、適性のある新品種、生産コストにも自信がある。盛川農場で2007年から5年間の試験を行なった結果、苗立ち率は平均で73%、砕土率70%以上であれば苗立ち率60%以上を確保できた。品種の選択は経営判断にもよるが、同農場での適性品種は、「萌えみのり」である。「ひとめぼれ」より収量を確保でき、約600kg/10aの収穫だった。また、生産コストについては、盛川農場の場合、6700円弱/10aで、これは、東北の平均コストの57%に相当する。
将来は日本全体にも応用できる区画整備の考え方として、津波で被災した仙台平野の例を示した。1haの区画を合筆して2~3haに拡大していく予定だ。現在、拡大した大区画圃場で、水稲の乾田直播、小麦、大豆の2年3作の試験を行なっている。ポイントは、水稲後、小麦を始める前の排水対策である。この2年3作の輪作体系は、トウモロコシにも応用できると考えている。

今年の取り組みの事例と
技術的・経営的な課題

今年の子実トウモロコシの栽培面積は、150haとなった。水田経営の規模拡大化を進めていく中で、水稲、大豆、麦と合わせた輪作を組めば、経営上のメリットが得られる。収益性で考えると、投下資本、投下労働力で考えた場合、トウモロコシは有効で、なかには、交付金が受けられる水田での転作に限らず、畑に作付けするケースもある。検討会では、参加者たちから現状の情報や課題、機械メーカーなどへの要望が挙げられた。
経営的な課題としては、生産コストをいかに下げるか、売り先をどう探すか、流通をどうするか、量が増えた場合の粉砕機の導入は必要かといった課題が挙げられた。また、飼料米のような支援がほしいとの声も出た。取引先との話し合いについては、養豚家の高橋氏よりアドバイスがあった。コストや手間の話ではなく、国産、または地域産のトウモロコシで一緒に品質の良い肉をつくろうという話をしたほうがスムーズにいくのではないかという。

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