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【特集】
耕種農家のための飼料穀物入門
- 編集部
- 2014年06月26日
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作物紹介
ホールクロップサイレージだけじゃない
濃厚飼料向けの穀実の国内生産にも期待
我が国の飼料用作物の作付(栽培)面積は91万5100ha(2013年度作物統計)。そのうちの74万5500haは牧草で、トウモロコシやソルゴーなどの飼料穀物は16万9600haを下回る。
栽培されているトウモロコシやソルゴー、麦類、ヒエ、大豆などは、飼料穀物といっても、実が完熟する前に実と茎葉を一緒に収穫する、ホールクロップサイレージ向けの品種が大半である。日本列島の各地で生産できるよう、早生から晩生まで、地域の積算温度に合わせた幅広いラインナップを種苗メーカー各社で用意している。
飼料穀物の自給率は1%以下
飼料自給率について、農水省は12年度の概算で26%と発表しているが、それはホールクロップサイレージなどの粗飼料の自給率が76%に及ぶためである。飼料穀物に限れば、実態としては1%に満たない。
例外的に濃厚飼料として利用されている飼料穀物は、政策の支援を受けて作付面積が確保されている飼料用米である。ところが、13年度産は前年比36%減の2万2300haという衝撃的な数字がある。端的に説明すれば、12年度に飼料用米を作付した面積のうちの2/3以上に相当する水田で13年度は飼料米の作付をやめているのだ。農水省の報告では備蓄米や加工米への転換等があったためだと指摘している。生産しても在庫の山になってしまえば、次年度以降は取り組まないという実態が浮き彫りになっている。
しかし、少し視線を変えると、この数字の裏には、継続的に需要者である畜産事業者と手を取り合うような取り組みが少ないことがわかる。畜産農家側もリスクを払いながら、新しい飼料原料の導入に挑戦しているわけだが、単年度で結果が出るものではないという。挑戦を始めた矢先に供給がストップするようでは、国産の飼料穀物生産に価値は見出せないだろう。需要側のニーズを把握しつつ、生産コストを抑え、継続的な供給体制を探る必要がある。
耕種農家の中には、飼料作物は交付金がなければ儲からないと、端から決め込んでいる方もいらっしゃるかもしれない。労働時間当たりの収益性を活かして面積拡大を進められるというメリット以外にも、品種改良が進んでいるため、毎年、新品種が投入されるなど、期待の持てる作物でもあるのだ。
次ページでは育種技術によって高収量になったトウモロコシの話を届ける。
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