ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

同伴者たち

大切なのは処理の技術ではない 循環のよい関係を作ることです/県南衛生工業 代表取締役社長 長葉坂勝

 いい大学を出た頭のいい役人に任せておけば安心ということはないんです。先日もある大学の先生が嘆いていました。「葉坂さん、知性の中からは知恵は生まれてこないものですね」って言う。どうすれば大切なものを循環の環に戻せるか、どうすればひとの役に立つことができるか、そういうことの答えはみんな自然が教えてくれているはずです。いまは学力のある頭のいい人はいっぱいいるけれど、その大切な部分を感じることのできる人というのは少ないというんです。

 もっと勇気を持ってばどうですか。いまできないということは、できるようにすればいいんです。私の会社のダンプは水を積んで一滴もこばさずに運べるものです。それから世界初の2段プランジャーポンプ車というものもある。よそにはない素晴しい車輔ですが、これらは自分たちで開発したものなんです。独立したときバキュームカーを売ってもらえなかったから、しようがなくて車輛は自分たちで開発するようになった。だからこそ、こういう世界に自慢できるものを持つことができたんです。これまでいろんなひとにいじめてもらったこと、「できない!」という場面が多かったことは、本当にありかたいことだったのです。

 最近は毎日大勢の方がここに見学に見えるようになって、また、手伝ってほしい、いっしょに事業に参加してほしいといってくる方が増えてきました。でも私自身は、もうこれ以上事業を拡大する必要はないと考えているんです。だって、事業を拡大して、利益を増やして、それでいっぱい税金を払ったって、「税金をいっぱい納めてくれてありがとう」なんて言われたためしがないんだから。食えるだけ稼げればいいなと思っています。

 ただ、これからもお得意さんは大事にしていきたいんです。私はいままでずっと世間のつまはじき者でした。それが、人づてに少しずつ「この仕事をお前にやらせたい」と言ってくれる人が現われるようになって、いつか私か行政からいじめられているときには「じやあ葉坂と同じ仕事をしてくれる会社はどこにあるんだこと直談判してくれたり、そうやって私は世の中から必要としてもらえるようになってきました。その人たちを裏切ったら、私は命がなくなる時です。これからも、法律に基づいた、善意ある仕事をしていかなくてはと思っています。

 このプラントを白分かちでも作るという人は、ぜひここのように見晴らしのよいところに作ってほしいですね。こういうものは物陰に作るものだと、誰が決めたんですか。みんなから見えるところに作って、みんなから注意して見ていてもらうべきです。私は、このハザカプラントのある山を、シダレザクラ1000本の名所にするつもりです。いま980本まで植えましたが、それを実現するのが目下の夢です。(構成/斎藤訓之)


堆肥化プラントの優秀さと県下随一の守備範囲が誇り
株式会社県南衛生工業


 宮城県の清掃会社。宮城県、仙台市、岩沼市、村田町、蔵王町、大河原町、宮城県下水道公社など、県の南半分の行政が持つ浄化槽の管理を一手に引き受けるほか、食品メーカーや精肉加工業など多くの企業の廃棄物処理を請け負う。昭和56年設立、従業員数18名。年商4億9300万円(94年12月期)。

 同社の最大の特徴は、今号の特集でも紹介した独自の堆肥化プラントによる廃棄物処理の方法にある。現在このプラントの優秀さが行政を始めとする各方面から注目を浴び、同社では見学や問い合わせ等への対応に追われている。

 葉坂社長自身は、このプラントは自分が独自に考えたしくみではなく、日本の農業に古来から伝わるノウハウを今日的にアレンジしたものだとして、この技術を後世にも伝えることが使命だと語る。そこでこのほど専門の研究所を設立し、堆肥化のメカニズムと、堆肥の組成の科学的分析に当たっている。

関連記事

powered by weblio