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安井 いやいや、教育というほどのことではないですが。僕は場を用意しているだけです。修学旅行生を見ていると、商売の原点を見ているような気がして勉強になるんです。初めて受けたときの感動を疑似体験できるので、たまらないわけですよ。
チャレンジ精神が大切
昆 今の農業を見ると、お客さんのほうを見ずに農林水産省を見ている。それは役人の利益になります。まったく商売がない。ありがとうの感動がない。これでまともな事業になるわけがないです。
安井 六次産業化の話をすると、出口のない生産物は、ただの自己満足でしかないと思っています。東京に持っていけば売れるというわけではないです。日本全国、世界各地からものが集まっているのが東京です。
東京にものを送るために、なんとか協議会ができるので、そこからうちは仕入れるようになります。でも、2年間の補助金が切れると、商品がなくなっちゃうんですよね。何度もお客さんにお伝えして、その商品を気に入っていただいて、やっと買ってもらって、ヘビーユーザーにまでなってもらったのをやめられると、さっきのカップラーメンの話のようにお客さんを裏切ることになります。
昆 補助金があるからですね。
安井 その間に入っているコーディネーターやコンサルタントもですけど、補助金があるから取りにいくっていう、この流れがおかしいと思います。
言いづらいですけど、六次産業化で一山当てようという野心やギャンブル精神が見えない。諸悪の根源は、そういう補助金があること自体なんだろうと思っています。僕には、5歳と6カ月の娘がいるので、無駄な税金をちょっとでも減らせるように、その第一歩として考えたことがあります。
仲間と一緒に、ある商品を生産者とつくって売ろうじゃんっていう発想です。うちも含めてこだわりのある小売店の4店舗で、ミョウガのピクルスをつくって4店舗限定で売る企画をしています。それが六次産業化補助金ドロップキック商品、第1号商品です。そうやって第2弾、第3弾をつくろうと思っています。
昆 補助金でおかしくなっている姿は、わざと赤字にして、不動産収入や税金を減らすような商店街の姿と同じじゃないかと。気づいた農家、気づいた商店主たちがいると、共感して膝をたたくお客さんたちがいる。全員ではないけれども、必ずいるだろうと思います。
楽しみながら柔軟に変化
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安井浩和 ヤスイヒロカズ
(株)稲毛屋
代表取締役
1978年、東京都生まれ。東京・早稲田で生まれ育ち、3歳から父の経営するスーパーマーケットを手伝う。明治大学商学部に通う傍ら、18歳で店長になる。父(安井潤一郎)が2005年に衆議院議員(小泉チルドレン)に当選したことをきっかけに同年から経営全体を任される。07年、テナントを含め8店舗すべてを閉店し、独立。同年10月、こだわり商店をオープンさせる。添加物を極力使用していない商品をコンセプトに、現在は全国36地域の商品1,200アイテムを取り扱う。一方、早稲田・高田馬場をはじめ、現在は全国11カ所以上に広がる地域通貨「アトム通貨実行委員会」の本部役員も務める。早稲田商店会の企画運営として修学旅行生による地元産品PR販売を企画し、年間1,000人以上の学生を受け入れて商店街活性化につなげている。
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