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紀平真理子のオランダ通信

養鶏場システムRondeel(2・後編)

採卵に際してRondeelシステム――養鶏農家の利益向上と社会的に受け入れられる新しい養鶏システムのプロジェクト――で設備投資した分の価格差は気になるところだ。実際にオランダのスーパーマーケットで卵1個当たりの店頭価格を調べてみた結果、一般のケージ飼いの卵が平均約0.17セント、同じく放し飼いが平均約0.19セントに対して、Rondeel製は0.28セントだった。
このRondeel製の価格は、放し飼いでオメガなどの栄養素を付加価値として配合された卵と同価格帯になる。比較するとかなり高い。しかし、Rondeel製はジャガイモの繊維でつくられた環境に優しいパッケージに入っており、そのパッケージにはRondeelシステムのイラストが記載されている。また、6個、もしくは10個入りケースが一般的なオランダにあって、3個入りと7個入りを販売することで消費者の目を引いており、手を伸ばす人もよく見かける。筆者もその1人だ。
現在は、そのRondeel卵を最大手スーパーマーケットで販売したり、KLM航空でRondeelの卵と鶏肉を使用したサンドイッチが提供されたり、大手外食チェーンに卵を採用してもらって普及に努めているそうだ。さらに、このプロジェクトが気になった人は誰でも施設を見学できるほか、インターネットで鶏の様子を24時間動画で視聴可能な仕組みで消費者からの信頼を集めている。“すべてを見せる”オランダならではのやり方だといえる。
Rondeelの開発は前回述べた政府関連機関だけで行なったわけではない。養鶏農家や関連会社の代表者15人でミーティングを開き、彼らの経験と知識から率直な意見を交わしてプロジェクトに反映した。その結果、高さ5.5mのドーム型の屋内と屋外エリアを持つ施設の中は大きく次の4つのセクションに分けられた。

(1)ナイトエリア:産卵、採餌、休息で鶏が快適に過ごせるエリア。前回述べたVencoグループVencomatic社のハウジングシステムを使用し、室温や照明を管理している

(2)デイエリア:砂浴びや採餌など、鶏が自然行動できるエリア

(3)遊びエリア:自然の気温で保たれている止まり木や探検エリア

(4)管理エリア:施設すべてを見渡せるエリア。採卵システムの設置、採卵した卵、餌などの保管、訪問者への施設案内場所としても活用できる

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