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【小川幸夫の虫の世界から見る農業】
見えない益虫、寄生蜂
- 小川幸夫
- 第7回 2014年06月26日
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現在、ビニールハウス内には狩蜂の一種であるフタモンアシナガバチが今年も30個くらいの巣をつくって子育てを始めた。最初の働き蜂たちが生まれて子育てが活発になった今、フタモンアシナガバチたちはハウス内を巡回してオオタバコガの幼虫を必死で探している。フタモンアシナガバチは、トマトの葉を食べているようなまだ生まれたてのオオタバコガの幼虫を肉団子にして巣に持ち帰ることができる。しかし、オオタバコガ幼虫がトマトのヘタ部分から内部に進入してしまうと、フタモンアシナガバチたちも捕まえて引きずり出すのは難しい。
この捕まえにくいオオタバコガを殺してくれるのがオオタバコガコマユバチだ。オオタバコガコマユバチは、オオタバコガの幼虫に卵を産み付け、その卵はオオタバコガの幼虫の体の中で成長してやがて中から飛び出してサナギになる。もちろん、このときにオオタバコガの幼虫は死に絶える。ホルモン剤であるトマトトーンで人工授粉をしている際、オオタバコガの発生状況を確認するが、今年は当初からこのオオタバコガコマユバチがオオタバコガの若齢幼虫に寄生していた。そのため、今はオオタバコガの発生が抑えられている。
寄生蜂たちを一言で表すと、あの映画のエイリアンになる。まさに怪物というか、化け物だ。映画にあったエイリアンが人間に卵を産んで、その人間の中からエイリアンが飛び出してくるシーンを想像するとわかりやすいだろう。
寄生蜂たちは自分たちが好む特定の宿主に卵を産み付ける。ハチの卵が孵化するとハチの子供である幼虫は、宿主の害虫がすぐに死なないようできるだけ致命傷を与えないようにして食べながら成長する。なぜ致命傷を与えないかというと、宿主が死んでしまえばフレッシュなものを食べられなくなるからだ。このときだけはある意味、共生になる。だが、ハチの幼虫が十分に成長、もしくは宿主の内部を食べ尽くすと宿主は死に絶え、ハチの幼虫は宿主の中でサナギになるか外に飛び出してサナギになる。寄生蜂の多くは人間の目では見にくい微小なハチだが、さまざまな昆虫に寄生してくれることで害虫の大量発生を抑えてくれている。
寄生蜂はオオタバコガコマユバチ以外にも数多く存在する。畑にいるものをいくつか紹介したい。
コマユバチ:コマユバチとは、寄生する宿主からサナギになるときに飛び出してマユをつくる寄生蜂を指す。オオタバコガコマユバチのほか、モンシロチョウの幼虫に寄生するアオムシコマユバチ、ハモグリバエに寄生するハモグリコマユバチなどがいる。オオタバコガコマユバチは一つの幼虫が宿主から出てきて一つのサナギになるのに対して、アオムシコマユバチはモンシロチョウの幼虫の中からたくさんのハチの幼虫が出てきて黄色いマユの塊をつくる。筆者は以前、害虫の卵塊と思っていたが、この小さなマユの塊はハチのサナギだった。間違ってもつぶして殺さないようにされたい。
この捕まえにくいオオタバコガを殺してくれるのがオオタバコガコマユバチだ。オオタバコガコマユバチは、オオタバコガの幼虫に卵を産み付け、その卵はオオタバコガの幼虫の体の中で成長してやがて中から飛び出してサナギになる。もちろん、このときにオオタバコガの幼虫は死に絶える。ホルモン剤であるトマトトーンで人工授粉をしている際、オオタバコガの発生状況を確認するが、今年は当初からこのオオタバコガコマユバチがオオタバコガの若齢幼虫に寄生していた。そのため、今はオオタバコガの発生が抑えられている。
寄生蜂はまさにエイリアン
寄生蜂たちを一言で表すと、あの映画のエイリアンになる。まさに怪物というか、化け物だ。映画にあったエイリアンが人間に卵を産んで、その人間の中からエイリアンが飛び出してくるシーンを想像するとわかりやすいだろう。
寄生蜂たちは自分たちが好む特定の宿主に卵を産み付ける。ハチの卵が孵化するとハチの子供である幼虫は、宿主の害虫がすぐに死なないようできるだけ致命傷を与えないようにして食べながら成長する。なぜ致命傷を与えないかというと、宿主が死んでしまえばフレッシュなものを食べられなくなるからだ。このときだけはある意味、共生になる。だが、ハチの幼虫が十分に成長、もしくは宿主の内部を食べ尽くすと宿主は死に絶え、ハチの幼虫は宿主の中でサナギになるか外に飛び出してサナギになる。寄生蜂の多くは人間の目では見にくい微小なハチだが、さまざまな昆虫に寄生してくれることで害虫の大量発生を抑えてくれている。
寄生蜂はオオタバコガコマユバチ以外にも数多く存在する。畑にいるものをいくつか紹介したい。
コマユバチ:コマユバチとは、寄生する宿主からサナギになるときに飛び出してマユをつくる寄生蜂を指す。オオタバコガコマユバチのほか、モンシロチョウの幼虫に寄生するアオムシコマユバチ、ハモグリバエに寄生するハモグリコマユバチなどがいる。オオタバコガコマユバチは一つの幼虫が宿主から出てきて一つのサナギになるのに対して、アオムシコマユバチはモンシロチョウの幼虫の中からたくさんのハチの幼虫が出てきて黄色いマユの塊をつくる。筆者は以前、害虫の卵塊と思っていたが、この小さなマユの塊はハチのサナギだった。間違ってもつぶして殺さないようにされたい。
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小川幸夫 オガワユキオ
大学卒業後に農業機械メーカーへ入るも、自身が思う理想の農業を目指すため、2001年に千葉県柏市の実家の農業を継ぐ。畑は1町5反、うち4反がビニールハウスで年間100品目の野菜を生産している。 20年前まで地元の市場に個選でネギを出荷していたが、ネギの価格が低迷したことを受けて自宅裏に直売所を設け、色々な野菜を作って地元の消費者に販売するようになる。現在は地元の百貨店や高級スーパーにコーナーを構えてもらっての販売のほか、大型直売所や年間200回以上の朝市での販売、また地元レストランをはじめとしたくさんの飲食店に野菜を供給している。
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