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岡本信一の科学する農業

失敗する前にやっておくべきこと


当たり前だが、新しい資材を最初から使いこなせる人などいない。導入してから、さまざまな変化を観察して、修正や細かな対応を加えていくことによって、使いこなせるようになっていくのだと思う。
実は技術的に上手くいかない人はこれができないのだ。多くの優れた人は、誰からでも情報を引き出し、うまくいく方法を取り入れようとする。上手くいかない理由をわからないままにしたくないからである。
点滴灌水チューブを例に出して書いてきたが、点滴チューブを使用するという大きな変化の中でも見失ってはいけないのは、それによる変化を知ることで、その後の栽培にも気づきを与えるきっかけを与えてくれることである。点滴灌水の特性や特徴を理解することであり、活用していくためには細かな修正を加える必要があるという点である。

新しいことを始める前に
本質を理解しておくこと

実は経営についても同じことが言えると考えている。経営上の大きな変化、特に新規事業の取り組みや新しいことを導入するような場合の変化というのは、なかなか見えてこないので判断を下すのが難しくなる。誰でも明確に判断できる基準は、財務諸表くらいしかない。つまり、結果として表れて初めてわかることになる。新規性があればなおさら、良い状態であるのか悪い状態であるのか、自ら判断するには経験が足りなすぎるためである。
先ほどの点滴灌水チューブの事例を当てはめると、初めて使用した際に、何か違うなと思いつつ栽培期間が終了してから、収量が低いことに気づくという状態である。しかし、使いこなせる人、栽培技術に長けている人であれば、途中で変化に気づき修正して収穫までに失敗を最小限に抑えることができるのだ。
経営というのも同じで、その小さな変化に対応できるのか、できないのかによって、経営者としての資質が問われる。私は経営のコンサルタントではないので、アドバイスはできないが、失敗しそうということだけは理解できる。というのも、経営の資質のない人が新しい事業に乗り出すということが失敗する可能性の高いことだと知っているからである。点滴灌水の特性を理解せずに、点滴チューブを導入してしまう人と同じで、新しいことや事業の本質を全く理解できないまま始めてしまうということになる。本人は理解していると思っているのが困ってしまう点で、周囲は明らかに失敗することがわかっているのに失敗に向かってしまうことになる。
成功するかどうかは明確にはわからないが、必ず失敗するやり方というのがある。点滴灌水の場合なら、基肥の量を減らして追肥で対応する、目詰まり対策をするといった当たり前のことを確実にやっておくだけで必ず失敗する状況は避けられる。ここでつまづく人は必ず失敗するのである。成功は天候条件次第になってしまう。経営でも同じで、大きな変化に対してポイントが理解できない人は成功する可能性が低くなり、たまたま成功することにかけるしかなくなってしまう。

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