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'96年・日本 大冷害のシナリオ
93年のアレは、泣いた農家がいる一方、しかし少なからぬ農家にとって。特需”として働いた。コメを探して右往左往する流通や消費者を相手に、存分に売手市場の面白さを味わった人は多い。だが、今度それを期待すれば、取り返しのつかない失態となる。
1993年の大凶作の記憶が薄れ、94年、95年と逆に「豊作=米余り」という悩みを抱えていたが、今年は3年ぶりに不作の可能性がでてきた。春先から北日本を中心に異常低温が発生し、水稲の生育に支障をきたしているのだ。
もちろん、米の作柄は6、7月の気象条件に左右される。5月末から急速に暖かくなっており、これから取り戻す可能性も十分あるのだが、現場からは「地域によっては93年よりも深刻。75年並みの冷害になり、大きな被害が出るかもしれない」という悲観論も聞こえてくる。農業経営者は今年の「大冷害のシナリオ」にどう対応すべきか、考えてみた。
低温が続く見通し
気象庁によると、4月に続き5月に人っても全国的に気温が上がらず、5月の平均気温は北日本(北海道・東北地方)で2℃以上、東日本(関東・東海・北陸)は1℃以上低く、西日本も例年よりやや低めに推移した。オホーツク海の高気圧から冷気が流れ込んだのが原因だ。
このため、日本の食料基地・北海道では雪が融けるのが遅れ、耕起や田植えがずれ込んでいる。ほかの畑作物も種まきが遅れるなど、早くも作柄が心配されている。
東北地方でも、田植えを済ませたのにその後の生育状況が悪く、もう一度やり直す、という事態が発生している。農協をはじめとする指導機関は、水を深くして根の活着を促すよう呼びかけた。
低温、日照不足は単に作物の生育を遅らすだけでなく、病害虫の発生原因にもなる。千葉県は「稲の葉や茎を食べるイネヒメモグリバエの産卵数が4割も多い」として、30年ぶりに注意報を出した。
気象庁の長期予報では、6月に入ると気温は例年並みに回復すると予想されており、実際、その通りになりつつある。しかし、7月は太平洋側で降水量が多く、気温も低くなりそうだという。もし予報が当たれば、少なくとも「猛暑」にはならず、農作物がぐんぐん育つ環境は望めそうにない。
冷害にどう対処するか
異常気象に対する技術的な対応は、プロの農業経営者なら、十分に心得ておられるだろう。秋田県のある稲作経営者は、
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編集部
警鐘・農業のここが危ない!!
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