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読み切り

農協金融9月危機説は本当か!'96年・日本大冷害のシナリオ・狂牛病は対岸の火事か!?

「日ごろ農薬や化学肥料をぶち込みすぎると、異常気象にやられやすくなる。有機肥料を使った土作りなど、地道な取り組みが問われる」

 と話す。全国的には作柄がよかった昨年も、秋田は不作だった。そして、この農家は、 

「周囲を見ても、いい加減な作り方をしているところほどできが悪かった。うちは以前から土作りを重視し、収量を抑えてきたので、作柄はあまり変わらなかった」

 という。農協などの指導については、 

「あてにならない。肥料、農薬の入れ方など、土壌を無視して一律指導していた。言う通りにしても、成果は上がらない。自分のやり方を確立しておくのが大事」 

 との見方だった。

 もちろん、指導機関の「質」もさまざまだろうから、一概に農協の指導がだめだと言うつもりはない。他人任せでは必ずしもうまくいかない、ということだ。

 技術論はこれくらいにしておくが、経営という面ではどう考えていけばいいのか。実は新食糧法の施行後は、農業経営者なら「凶作」の中でもそこそこの収量を上げていかなければ立ち行かない、ということに気づいておく必要がある。

 その第一の理由として、「凶作でも米の値段は上がらない」ことがあげられる。いままで、凶作時には米の流通量が少ないから、需要と供給の関係で単価が上昇した。したがって、収量が少なくても、収入はあまり変わらなかった。

 しかし、新法施行後は政府が200万tもの備蓄米を保有しているし、足りなければ外国から自由に輸入することもできるので、米の価格は上昇しにくい。専業農家にとって、凶作は即、収入減少につながる。

 第二に、米をこれまで通り農協に引き渡すだけならいいが、これからはプロの農家は自ら販売先を開拓していかなければならない。農協に引き渡していたのでは、減反に協力しないわけにはいかないし、ほかの兼業農家の米とブレンドされるので、価格的にも適正な評価を受けにくい。しかし、卸・小売業者や外食業者と直に取引する場合、販売先との安定した取引関係を維持するため、「不作だから納入する商品がない」という事態は何としてでも避けなければならない。

 安定供給を守れない限り、割のいい販売先は確保できない。個人に直接販売する場合も同じことだ。商品供給が途切れると、あっという間にそっぽを向かれてしまう。


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