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イギリスにおいて最初にBSEが発生したのは1989年で、当時はさほど大きな問題にはならなかった。だが今回の問題は長期化の様相を呈している。
イギリスにおけるBSEの発生数は1 989年の7100頭を皮切りに、その後90年1万4000頭、91年2万500 0頭、92年3万6000頭、94年2万3000頭と変化している(次頁表土。その後沈静化するように見えたBSEであったが、いまやイギリスは400万頭の牛の処分を迫られるという事態にまで追い込まれている。 イギリス政府の発表後、3月20日、英農業大臣の諮問機関であるBSE専門家委員会は、BSEとクロイツフェルトヤコブ病(CJD、人間の脳が海綿状になり、アルツハイマー型痴呆症に似た症状を起こしい死に至る)の間には、直接的な証拠はないものの、89年のBSE感染部位の使用禁止以前の感染牛との接触がCJDの発病と関連がある可能性が高いと発表した。ただし牛乳については安全性を確認している。
これを受けてEUは、ドイツ、フランス、イタリアなどEU12ヵ国(アイルランド、デンマークを除く)の欧州委員会を3月25日から27日にかけて行なうなどの対応をしている。3月25日、EUの常設獣医委員会は、イギリス産牛肉及びそれを原料とする製品のEU加盟国及び第三国に対する輸出禁止の勧告を決定した。27日、欧州委員会はBSEに対する暫定措置として、イギリスからEU加盟国及び第三国に対しての次の商品の輸出を禁止した。すなわち、生体牛、牛の精液、胎児、イギリスにおいて屠畜された牛の肉及び関連加工品、動物飼料、人間の関与する食物連鎖に入る可能性のあるもの、衣料品、化粧品、医薬品に使用される牛を原料とした製品である。
ここで「動物飼料」というものが取り上げられているが、これはBSE発生源がどのように考えられているかという問題と直接かかわりがある。つまりBSEの発生源は従来から知られているスクレイピー(羊の脳が海綿状になり死亡する病気)に侵された羊であって、そのミートホーンミール(脳、骨などから作られる動物飼料)を食べた牛がBSEを発病し、さらに牛同士で感染したと考えられているのである。したがって、BSEを防ぐ手だてとしては、感染源と思われる羊のミートホーンミールを牛に与えないということが重要なことである。
これに次いで、4月1日~3日にEU緊急農相理事会がルクセンブルグで開かれた。ここでは、屠畜時に30ヵ月齢以上のイギリス産牛を食用及び飼料用のルートから排除するという決定がなされ、同様に、化粧品、薬品の原料としての利用も禁止した。これは羊を発生源とするBSEが考えられるように、人類の食物連鎖からそうした危険の可能性を隔離するという目的がある。その考え方により、家畜飼料として哺乳類に関するものを配合飼料にする場合は、基準及び表示規則を強化する一方、さらに哺乳類の肉及び骨粉を牛などの反物動物の飼料を通して利用することを禁止した。
BSE感染牛の処分に対する費用の問題では、イギリス政府は30ヵ月齢以上の牛の屠畜を行ない、その屠畜に要する費用はイギリス政府が負担し、農家への補償費用のうち70%をEUが負担、残りをイギリス政府が負担するという決定をした。これによって、EUの負担額は年間で3億2000万EQ(約430億円)になる。なお、BSEはイギリス以外でも発生しているが、他のEU諸国がBSE対策を講じる際も、同様にEUが負担する。
イギリス政府は4月末までに、BSEに感染した疑いの強い家畜の選別的破棄処分計画を欧州委員会に提出することになった。欧州委員会は、暫定的な措置として4月中に5万tの牛肉の買い入れを行なう。これはすなわち、今回イギリスを中心としたBSEの発生による経済的損失を少しでもカバーするという措置である。
また欧州委員会は、イギリスと協力してBSE対策専門家グループを設置した。イギリスでは衛生監視所が強化され、農場の監視、牛の登録を行なう。イギリスは、2週間ごとにこれらの状況を欧州委員会に報告することになった。
イギリスにおけるBSEの発生数は1 989年の7100頭を皮切りに、その後90年1万4000頭、91年2万500 0頭、92年3万6000頭、94年2万3000頭と変化している(次頁表土。その後沈静化するように見えたBSEであったが、いまやイギリスは400万頭の牛の処分を迫られるという事態にまで追い込まれている。 イギリス政府の発表後、3月20日、英農業大臣の諮問機関であるBSE専門家委員会は、BSEとクロイツフェルトヤコブ病(CJD、人間の脳が海綿状になり、アルツハイマー型痴呆症に似た症状を起こしい死に至る)の間には、直接的な証拠はないものの、89年のBSE感染部位の使用禁止以前の感染牛との接触がCJDの発病と関連がある可能性が高いと発表した。ただし牛乳については安全性を確認している。
これを受けてEUは、ドイツ、フランス、イタリアなどEU12ヵ国(アイルランド、デンマークを除く)の欧州委員会を3月25日から27日にかけて行なうなどの対応をしている。3月25日、EUの常設獣医委員会は、イギリス産牛肉及びそれを原料とする製品のEU加盟国及び第三国に対する輸出禁止の勧告を決定した。27日、欧州委員会はBSEに対する暫定措置として、イギリスからEU加盟国及び第三国に対しての次の商品の輸出を禁止した。すなわち、生体牛、牛の精液、胎児、イギリスにおいて屠畜された牛の肉及び関連加工品、動物飼料、人間の関与する食物連鎖に入る可能性のあるもの、衣料品、化粧品、医薬品に使用される牛を原料とした製品である。
ここで「動物飼料」というものが取り上げられているが、これはBSE発生源がどのように考えられているかという問題と直接かかわりがある。つまりBSEの発生源は従来から知られているスクレイピー(羊の脳が海綿状になり死亡する病気)に侵された羊であって、そのミートホーンミール(脳、骨などから作られる動物飼料)を食べた牛がBSEを発病し、さらに牛同士で感染したと考えられているのである。したがって、BSEを防ぐ手だてとしては、感染源と思われる羊のミートホーンミールを牛に与えないということが重要なことである。
これに次いで、4月1日~3日にEU緊急農相理事会がルクセンブルグで開かれた。ここでは、屠畜時に30ヵ月齢以上のイギリス産牛を食用及び飼料用のルートから排除するという決定がなされ、同様に、化粧品、薬品の原料としての利用も禁止した。これは羊を発生源とするBSEが考えられるように、人類の食物連鎖からそうした危険の可能性を隔離するという目的がある。その考え方により、家畜飼料として哺乳類に関するものを配合飼料にする場合は、基準及び表示規則を強化する一方、さらに哺乳類の肉及び骨粉を牛などの反物動物の飼料を通して利用することを禁止した。
BSE感染牛の処分に対する費用の問題では、イギリス政府は30ヵ月齢以上の牛の屠畜を行ない、その屠畜に要する費用はイギリス政府が負担し、農家への補償費用のうち70%をEUが負担、残りをイギリス政府が負担するという決定をした。これによって、EUの負担額は年間で3億2000万EQ(約430億円)になる。なお、BSEはイギリス以外でも発生しているが、他のEU諸国がBSE対策を講じる際も、同様にEUが負担する。
イギリス政府は4月末までに、BSEに感染した疑いの強い家畜の選別的破棄処分計画を欧州委員会に提出することになった。欧州委員会は、暫定的な措置として4月中に5万tの牛肉の買い入れを行なう。これはすなわち、今回イギリスを中心としたBSEの発生による経済的損失を少しでもカバーするという措置である。
また欧州委員会は、イギリスと協力してBSE対策専門家グループを設置した。イギリスでは衛生監視所が強化され、農場の監視、牛の登録を行なう。イギリスは、2週間ごとにこれらの状況を欧州委員会に報告することになった。
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