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今年の市場相場を読む

工業的生産野菜の不況への対応 モヤシ/糸ミツバ/ナメコ/カイワレ

工業的に生産される野菜類は、施設によって菌床や水耕で環境を制御しながら栽培されるため、周年供給できる。こうした野菜類は、消費トレンドを敏感に反映することが可能で、天候に左右されたり、生産されただけ出荷するといったことはない。過去20年の間に日本経済を襲った長い不況は、工業的に生産されている野菜類にどんな影響があったのか、その不況というトレンドにどう対応してきたのか。卸売市場への入荷動向を見ながらも、その背景にある流通の多様化にも興味を持ってみたい。これら従来からの工業的野菜は、各地に増えてきた植物工場の今後の展開や方向性にも、大きな示唆を与えるだろう。
モヤシ
単価24%安ながら4割もの消費増、不況対応で数量がホウレンソウ超え

【概況】
東京市場のモヤシの入荷を1993年と2013年で見ると、数量全体では約1割減で、単価は24%も安くなった。どの月も入荷を減らし、単価はほとんど変わらない。かつてシェアが5割近かった福島は40%まで下げた。22%で2位の群馬は順位に変動がなく、東京の入荷が激減した分、栃木が伸ばして3位、これに千葉が続く。福島の成田食品、群馬と栃木にも生産拠点を増やした富士食品で、8割のシェアは不変だ。

【背景】
93年当時、約40万tだったモヤシの生産量は以降、一時やや減少したものの、09年ごろから増え始め、現在は45万tを超える。生産量は1割以上増えているのに市場入荷が逆に1割減なのは、量販店など大口需要者への直接販売が大きく増えたためだ。家計調査によると、世帯当たりの購入量はこの間、4割も増えたが、購入金額はほぼ変わらない。不況に合わせて販売単価が3割近く安くなったのだ。工業的生産の面目躍如たる部分である。

【今後の対応】
従来から物価の優等生だったモヤシは、この不況時にも期待される役割を果たした。ただし、単に単価を下げただけではモヤシ産業は生き残れない。低コスト・高効率生産への切り替えに加え、原料調達産地やルート開発、根切りモヤシ、大豆モヤシなどの差別化アイテムづくり、豆苗、ブロッコリースプラウトなどの新商材開発などで対応してきた。そして、今や重量ベースではホウレンソウを超えたといわれるほどの地位を獲得している。

糸ミツバ
業務用と小売の品ぞろえで減少傾向、主産地によるメニュー提案を期待

【概況】
東京市場の糸ミツバを過去20年で対比すると、入荷量が14%減、単価は22%安くなっている。ほぼコンスタントに入荷しているが、春にやや増えるほか、年末需要期にも増加して単価が高くなる。主産地は変わらず、約5割を占める千葉で、これに埼玉、静岡、茨城などが続く。市場に「ミツバ」として入荷するものは、根ミツバ、切りミツバ、そして糸ミツバだが、これらのうち、9割近いのが、糸ミツバである。

【背景】
鍋などにも使われる根ミツバ、正月料理などで家庭でも利用が多い切りミツバに対して、糸ミツバは料理に添える形での業務用の割合が多い。入荷数量が減少し、単価も安くなったのは明らかに不況の影響で、業務用での利用が減ったことが原因だ。切りミツバはトレーパックにきれいに切りそろえられ、キロ単価が4000円近いものの、糸ミツバは細くて頼りないうえ、ウレタン地とともに袋詰めされていては購買意欲をそそらない。

【今後の対応】
春に多く出回る根ミツバなどは根の部分をキンピラにするなどの利用提案があるが、糸ミツバは量販店などでは品ぞろえ商品として置いてあるだけで積極的な提案もない。しかし、これもまた「和」の食を彩り、香を添える伝統野菜である。主産地千葉は、もともとツマ物など促成物の代表的な近郊産地だが、地場の食材としては普及していない。地産地消の千葉県版である「千産千消」運動もあるのだから、一般普及にもっと注力を期待したい。

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