ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

工業的生産野菜の不況への対応 モヤシ/糸ミツバ/ナメコ/カイワレ


ナメコ
伝統産地山形に長野が肉薄する勢い、待たれる独特の食感を生かす提案

【概況】
東京市場のナメコの入荷を93年と13年で対比すると、単価は半値になったものの、数量は3%程度の減少にとどまっている。周年安定して入荷しているが、かつては秋から冬にやや増えたものが今では春に増える。93年当時は山形がトップで34%、2位以下は群馬、福島、新潟と続いた。13年では山形が26%まで下げ、長野が24%と肉薄している。頭部分だけの小袋入りが残る山形に対して、長野などは茎や根付きの袋入りが主流だ。

【背景】
キノコ類は、今や工業的な生産が主体になっている。ただし、多くの品目が秋から冬にかけての鍋物シーズンにピークを形成する生産・出荷体制なのに対して、ナメコは年間を通じてほぼ波がない。現在、3、4月に市場入荷が増えるのは、長野などの主要産地がキノコシーズンの終盤でスーパーなどへ直販していた部分を市場出荷に回すという事情が背景にある。この時期にとくに単価が下がることがその証拠だが、安くても消費がついてこない。

【今後の対応】
ナメコは、他のキノコ類のなかでは食味が独特であり、用途が限定されてしまう嫌いがある。最近では、茎や根付きのものや傘が大きいものなど、バラエティーも増えてきた。いわゆるネバネバ系食品の仲間であり、スパゲティーなどの洋風な料理でも特徴は出せる。キノコ類のなかでは珍しく“味のある”商材でもあり、店頭での用途提案や居酒屋チェーンなどへのメニュー提案で、意外に“隠れた食材”として火を噴く可能性を秘めている。

カイワレ
業界のトラウマで生産出荷激減、新世代には新食材の仕掛けを

【概況】
東京市場のカイワレを過去20年で対比すると、入荷数量はなんと78%も減っている。93年当時は夏場が需要期で年末にも正月用品として売れていた。かつての名残があって7月にやや増えるが、今や泡沫商品だ。主産地は、数量がかつての3分の1になった埼玉と、続く神奈川で86%のシェアを握る。ツマ物時代からの産地だった静岡もわずかながら命脈を保っているものの、いわばモヤシ業者の“副業”に過ぎない。

【背景】
全盛期には6000t以上入荷し、ツマ物からの大出世野菜として注目された。しかし、97年夏に発生したO‐157事件によって激減。バブル崩壊と事件が重なり、需要が減ってもがんばっていたものの、13年に800tまで落ちて力尽きた感がある。かつては農業系の割合も高かったが、現在、残っているのはモヤシ業者だけだ。彼らはそのカイワレの激減分を、モヤシなどの商品開発で補うという企業努力で経営を立て直した。

関連記事

powered by weblio