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新・農業経営者ルポ

農業を「食業」、そして「農村産業」へ


伊藤は漁業権も漁船も持っている。また、辺りには丘陵地が広がっていて山遊びもできる。農だけでなく、山や沼などすべてが遊び場、学び場となる。そうした遊びや学びは都会の人たちからすれば不便と感じることもある。しかし、伊藤にとってみれば、その不便さがいいのだという。
「現代はちょっと不便のほうが心地良いんですよ。ちょっと不便だからこそ便利さの価値がわかる。都会の人たちは電車が数分に1本来るのが当たり前だと思っている。でも田舎では1時間に1本が普通じゃないですか。常に負から始まっていれば、すべてプラスになるんですよ。ちょっと不便なほうが感動もできる。舗装道よりは曲がった砂利道のほうがおもしろい」
すでに食農体験は事業化している。ただ、思うように収益が伸びていかなかった。先に触れたような新たな計画を展開し、これから「人」「物」「環境」をより有機的につなげていくことで、農村産業として飛躍できるはずだと伊藤は考えている。
パッケージツアーは2年後に始める。その先に思い描くのは「日本活性化計画」。これから伊豆沼を舞台に広げる農村産業がある程度の形になった段階で、これをモデルケースに全国で同様の活動を提案していく。日本経済を活性化するうえで大事なのは、地域で小さな産業を興していくことだという。
「地域資源というのはそこにしかない。同じものを扱っても、場所が違えば違った展開ができる。どこの村でも、隣村とは違う産業構築ができるんですよ。何を扱うかは地域に選ばせる。そうすれば地域の経済は活性化し、日本はもっとおもしろくなりますよ」
夢は大きい。元町議会議員だった祖父が見抜いたように、伊藤なら一度宣言したことはきっとやり遂げるに違いない。
(文中敬称略)

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