記事閲覧
【吉村明のみつひかり栽培日誌】
ウンカやカメムシ等の病害虫防除は、予防が第一
- 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
- 第7回 2014年07月24日
- この記事をPDFで読む
稲こうじ病の防除ポイント
稲こうじ病は豊作の年に多いとされ、”豊年病”とも呼ばれますが、多発すると収量に影響するだけでなく、玄米に混入すると規格外になるため経済的な被害が大きい病害です。病粒にはマイコトキシン(かび毒)の一種であるウスチロキシンが含まれるため、食料や飼料としての安全性にも問題があります。
稲こうじ病は、田面に落ちた病粒が翌年の発生源になります。最新の研究では、移植直後の苗に稲こうじ病菌が感染することが明らかにされましたが、発病に至るまでの過程には依然として不明な点が多くあります。しかも、稲こうじ病は発病の年次変動が大きい上、籾に発病が認められるまでは病徴が現れないため、出穂期以前の診断ができず的確な防除が困難です。
本病の防除には、銅粉剤やモンガリット粒剤などが有効です。一般に、銅粉剤は出穂10~20日前、モンガリット粒剤は出穂2~3週間前が散布適期です。銅剤は防除効果が高いものの、天候によっては散布が難しい上、効果のある病害が稲こうじ病や墨黒穂病に限られます。これに対して、モンガリット粒剤は粉剤と比べると防除効果はやや劣りますが、稲こうじ病以外に墨黒穂病、紋枯病、疑似紋枯症、穂枯れなどにも登録があります。
稲こうじ病菌は穂ばらみ期に籾の中へ侵入するため、出穂期を過ぎてから薬剤を散布しても防除効果は期待できません。したがって、出穂期を正確に把握し、薬剤を適期に散布することが重要です。2014年は北日本を中心に、冷夏になる可能性があります。稲こうじ病は出穂1~2週間前に低温多雨などの気象条件が重なると発病が増加するため、多発に備えて薬剤防除を実施すべきと思われます。
会員の方はここからログイン
吉村明 ヨシムラアキラ
三井化学アグロ(株)
営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー
1962年生まれ。1988年 北海道大学大学院農学研究科修了。同年 三井東圧化学(株)(現三井化学)入社、農業資材開発に従事(北海道工業所勤務)。1996年 本社異動後、ハイブリッドライス事業開発を担当になる。2000年に事業ごと三井東圧農薬⑭(現三井化学アグロ)に異動し、現在に至る。17年間「みつひかり」をライフワークに、全国を飛び回る。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
