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「なじませる」という言葉の意味は、水分の変化とともに土壌の微生物が増えるのを待っていることだと私は解釈している。
例えば、プラウで起こすと、酸素の少ない下層の土が地表に現れる。その際、すぐに次の作業に移るのと時間をおいてから作業を行なうのでは意味が違ってくる。下層の土は、酸素が少ないので、嫌気性の微生物が専有している。しばらくそのままにしておくと、酸素に触れて徐々に好気性の微生物が増える。一方、すぐにロータリーなどで細かくしてしまい、そこに雨が降った場合、嫌気性の微生物が専有したままになるかもしれない。これは、調べたことではないので私の想像に過ぎないが、それぞれの土壌にとって最適な状態を作るための作業間隔というものが存在していると考えられる。
このように見てみると、土壌改良や耕起、施肥、有機物の投入などには、さまざまな考慮をする余地がまだまだ沢山あるということに気付かされる。大規模化が進んだ現在、効率を優先せざるを得ないが、作業手順などを今一度考えてみる良い機会になるのではないだろうか。土壌を数値で見られるのは化学性くらいしかないが、土壌の物理性や生物性を頭に入れて考えてみると、もっと多様な可能性があるだろう。
今回私が書いたのは、今後の土壌改良や土壌に対する働きかけに対する問題提起である。土壌の物理性と収量や品質の関係を追求することにより多くの気づきを得た。しかし、三次元的な構造ということは頭でわかっていても、なかなか実感できない。以上のことを理解しながら、実際に作物の根を引き抜いて確認してみると、より面白いと思う。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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