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第二特集

コメ先物、本上場せよ

米価が下がり続けている。農水省が毎月公表する「米に関するマンスリーレポート」によれば、2013年産の相対取引価格は昨年9月に1万4871円だったものが、今年6月には1万4328円にまで下がった。「7000円ショック」が起きた07年を下回る勢いだ。こうした米価の急激な変動から稲作経営を守るのがコメ先物市場である。試験上場の最終年に入ったいま、本特集で改めてその価値を考える。 (まとめ/窪田新之助)
ぬぐえない先安感

まずはなぜ米価が下落しているのか、需給関係を見たい。「米に関するマンスリーレポート」にある民間流通在庫量は6月末で255万t。適正在庫量180万tを75万t上回る数量だ。一方で消費は減っている。公益社団法人の米穀安定供給確保支援機構が公表している1カ月当たりの消費量を見ると、13年度(4月~翌年3月)は前年対比で9.0%減。今年に入ってからも、4月に持ち直すまでは前年同月を下回り続けた。
こうした中で間もなく収穫を迎える14年産米の作付面積は148万ha。これは前年産と比べて4万ha減るものの、国が示す生産数量目標より3.6万ha多い。平年作となれば19万tの供給過剰になる。JAグループは6月下旬に内部で対策会議を開催。今後の対応に関する検討メモでは「過去に例を見ない水準まで価格が下落する懸念がある」と危機感をあらわにしている。
こうした米価の急激な変動に備えるため、11年8月に試験上場されたのがコメの先物市場である。コメの生産と流通の実態は後の座談会に譲るとして、ここでは先物取引とは何かをおさらいしておきたい。

受け渡しの長さと反対売買

先物取引は理解するのに難しいと思って毛嫌いしている方も多いだろうが、決してそんなことはない。とりあえず、以下の二点を押さえておけばいい。
一つ目のポイントは商品の受け渡しまでの期間が長い取引であるということ。あらかじめ数カ月先の売買契約を結ぶ。この点、売買が成立したら即座に決済をする現物取引とは違う。
二つ目のポイントは「反対売買」ができること。反対売買というのは、決済日までに買い方であれば売り出しをして、売り方であれば買い入れをして、取引関係を解消することだ。たとえば、コメが値上がりすると踏んで先物を買ったものの、その予想が外れ、そのまま放っておけば大きな損失を被りそうになったとする。この場合、買い方はすぐに売りに出して、先物取引から離脱することで損失を抑えられる。これが反対売買である。反対売買をしたときには、金銭の授受で決済をする。
先物取引というと投機のイメージがあるが、いま説明したように本来的には価格変動に伴うリスクヘッジ(危機回避)が目的である。具体的に稲作農家にとってはどんなメリットがあるのか。たとえば、作付け前に将来の現物相場が下がると予想したとする。この場合、先物市場に参加して1俵当たり1万6000円で売りに出せば、出来秋の現物相場が1万5000円に下がったとしても、先物での契約どおりに1万6000円を手にできる。

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